No.314
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2021.06.01
微生物の潜在能力を引き出し循環型社会でのモノづくりに資する基盤技術
固体培養の産業化技術
概要
固体培養の産業化技術とは、微生物の潜在能力を選択的に引き出して目的の有価物(酵素や有機酸など)を安定的に大量生産する技術。醤油・味噌・清酒・焼酎など日本の伝統的醸造の品質や生産性を決める重要なプロセスである製麹(せいぎく、麹づくり)は、米・麦・大豆など固体状の穀物原料に麹菌という微生物を直接生やす、日本独自の固体培養の技術である。固体培養は、液体培養と比べて微生物の物質生産性が高いといわれているが、菌体の発熱量が多く流動性がないため培養条件の均一化が難しい。そのため大型化や自動制御が困難とされてきたが、フジワラテクノアートは科学的根拠に基づいた装置構造の開発と熟練技術者の技を研究することにより、固体培養物である有価物を安定的に大量生産できる固体培養システムを構築した。世界最大規模の固体培養装置を実用化したことで、固体原料を付加価値のあるものに変化させることを、食糧・飼料・エネルギー・バイオ素材などあらゆる産業分野に応用し、「固体培養の技術が持続可能な循環型社会における基盤技術となること」が期待されている。日本から世界に発信する循環型社会における重要なモノづくり技術である。
なにがすごいのか?
固体培養は、微生物がもつ低エネルギーかつ効率的に物質生産をする能力を最大限にひきだす
大規模化が難しいとされる固体培養の機械化・自動化・大型化を実現
醸造での多数の大規模生産実績にもとづいた、実用化と産業化技術の確立
醸造において世界最大の全自動固体培養装置を実用化
規模や用途に応じた機器と、高い再現性をもつ微生物制御技術の提供
酵素生産など一般産業へ展開
なぜ生まれたのか?
古くから醸造業界にて行われてきた固体培養である麹造りは三日にわたり職人が目を離さず仕事をする必要があり、その品質は技術者の経験と勘によるところが多く、再現性と後進への技術継承が困難であった。また醸造業界から生産規模の拡大による自動化された大型固体培養装置が求められた。これらの課題を解決すべく作業の効率化のための機械化が進められ、さらに大型化と高い品質の再現性を実現する独自の微生物制御システムが実用化された。またこの技術は一般産業としての酵素生産にも展開された。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
あらゆる食品素材が価値を持つ「微生物によるモノづくり基盤技術」
固体培養は、微生物の潜在能力を引き出して食品や生分解性プラスチックなど有価物を安定的に大量生産する技術。固体培養の産業化により、今まで農産物のなかで利用しづらかった茎、根、葉っぱ、皮なども、全て余すところなく利用した「心豊かな食卓やリビングの未来」が生まれるかもしれない。さまざまな有機素材を微生物によって新たな価値を持つ食品や資材に生まれ変わらせる「持続可能な循環型社会におけるモノづくり基盤技術」。心豊かな生活を創造するだけでなく、フードロスの解決、発展途上国への食糧支援の一助にもなるだろう。
なぜできるのか?
固体培養である麹づくりの自動化・大型化
醸造における麹づくりを完全自動化し大型装置を実用化。要部材質はステンレスで耐久性に優れ、清潔な環境で培養(麹づくり)が可能。さらに装置の細部まで洗浄がしやすい構造や自動洗浄装置により、徹底した衛生管理のもと安定した品質で培養をすることができる。
菌の生育と発熱の自動制御
一般的に固体培養では難しいとされてきた、菌体の増殖に伴う発熱の自動コントロールが可能。小規模培養から大規模培養まで対応し、伝承されてきた匠の技による培養操作を知能化した自動制御システムにより、微生物にとって最適な環境のもとで高効率に高品質の固体培養物を生産することができる。
産業化までのプロセスを提供
生産量、稼働日数、予算、自動化レベルに応じて、固体培養に伴う機器のフルオーダーメイドが可能。単体の機器導入から、工場全体のプロデュースまでを対応する。
相性のいい産業分野
- 食品・飲料
醸造食品、プロバイオティクス食品、機能性食品、健康食品、植物タンパクの高度利用
- 農業・林業・水産業
免疫力向上や経済寿命延長などの効果が期待できる、畜産や水産養殖における機能性飼料
- 環境・エネルギー
食品副産物やバイオマスを高度利用するSDGsへの貢献、バイオエタノールなど環境負荷の低い燃料の生成
- 資源・マテリアル
生分解性バイオプラスティックや、繊維加工・食品加工・洗剤などで使用する複数種類の酵素の同時大量生産
- 生活・文化
植物を固体培養することによるポリフェノール量増加など、化粧品・健康食品における高機能性素材の創製や少量の高付加価値品
- 製造業・メーカー
微生物の大量培養を自動化・大型化