No.316
Sponsored
2021.06.01
豊かな食文化を支える、知能化する醸造プラント
次世代醸造プラントシステム
概要
次世代醸造プラントシステムとは、心豊かな食文化を支え、これから強く求められてくる持続可能な循環型社会の一翼を担うことができる、フジワラテクノアートが目指す次世代型の醸造生産システムである。徹底した省エネルギー化をはじめ、廃棄物やCO₂排出量を大幅に削減し、AIやICTを積極的に実装する、人にも環境にも優しい完全自動化した醸造プラントシステム。これを実現するには、それぞれの機器が高度化するだけではなく、各機器とプラント全体が知能化する必要がある。各機器の知能がお互いにコミュニケーションをとることで、運転とプラント全体の操業を高度に最適化する。そこに人とのコミュニケーションが加わることにより、人が求める品質とコスト・生産スケジュールを実現する、未来の次世代醸造プラントシステムへ進化することができるだろう。
なにがすごいのか?
視覚情報から吟醸麹の出来を判定し、杜氏が求める吟醸麹の品質を実現する最適製麹条件を提示するAIを開発
熟練技術者の勘や経験に依存していた麹づくりを、各種最適化制御システムの開発により製麹の完全自動化と高い品質の再現性を実現
国内のみならず海外にも高度に自動化された醸造プラントを展開
各種AIシステム、予知保全システムや遠隔管理システムの開発と実装が進行中
なぜ生まれたのか?
フジワラテクノアートは、醸造機械メーカーとして中長期的な成長方向を描いた「開発ビジョン2050」を策定。醸造を原点に、微生物の潜在能力を引き出して高度に応用する産業分野「微生物インダストリー」を研究機関や企業と共創しながら、持続可能な循環型社会構築に貢献していく。そのビジョンを実現するための中核プログラムの一つとして「次世代醸造プラントシステム」が構想されており、構想実現に向けて各種開発テーマが推進されている。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
システムが自ら考え、システム同士が自発的に協働する「知能化した醸造プラント」
次世代醸造プラントシステムが普及すれば、従来は職人の経験と感覚に頼っていた繊細な醸造工程を、知能化したシステムが自ら考えながら担うことができるかもしれない。知能化した醸造プラントは、日本酒を製造する際にも、商品企画チームが求める味や香りのチャートを入力するだけで最適な環境と運転を導き出し、また、生産を繰り返すことでシステム同士がコミュニケーションしながら学習し、自らインターネットで最新研究知見を入手してアップデートを行う。人が求める品質とコストそして生産スケジュールを自ら考えて実現する未来の醸造プラントが構築されるだろう。
なぜできるのか?
麹づくりをAIが学習し最適制御へ
吟醸麹は、熟練した杜氏の長年の経験と感性によって造りあげられる。この高度な技術の伝承は年々難しくなっている。フジワラテクノアートは、この吟醸麹の麹づくりを学習するAIシステムを開発した。杜氏の麹づくりを毎回学習し、杜氏の意思やこだわりを取り込みAIは進化する。進化したAIシステムは、これからの麹づくりをサポートし、杜氏の技術伝承を可能とする。
AIが吟醸麹を画像分析
吟醸麹を画像で取り込みAIが吟醸麹の出来を4クラスに分類する「麹1粒クラス判定モデル」を開発。さらに製麹条件と出来た吟醸麹の破精(ハゼ)分布をAIに学習させることで、設定製麹条件を入力すると破精分布を予測する「破精分布予測モデル」を開発。設定した製麹条件でどのような麹ができるかシミュレーションが可能となった。また製麹条件と出来た麹の画像情報を入力することで、いままで分析にかなり時間がかかった酵素力価を予測するモデルも開発。今、製麹の知能化が進行中。
醤油製麹の完全自動化
醤油製麹の40数時間、麹の品温経過が設定パターンどおりに推移しなければ適正な酵素力価を有した醤油麹はできない。そのために製麹中は、品温データに基づいて送風温度や湿度を精密にコントロールする。しかし醤油製麹は他の製麹と異なり、大量かつ高層堆積で製麹するため、麹菌の増殖による麹の締まりで通風が難しくなったり、急激に発熱量が上昇したりするため、従来の制御方式では制御できない。フジワラテクノアートは、フィードバック制御に加え、培養特性によるフィードフォワード要素を制御システムに組み込むことで精密な制御を可能とする独自の品温ベクトル制御を開発し実装した。さらに、手入中は品温計測ができないため、手入後しばらくの時間は不安定な品温経過になるが、これを解決するために独自にAIベクトルを開発。これらの独自に開発した制御システムにより、醤油製麹は完全自動化が可能となった。