No.323
2021.05.13
人工土壌による宇宙農業プロジェクト
宙農(そらのう)
概要
宙農(そらのう)とは、人工土壌による宇宙農業の実現を目標としたプロジェクト。現在、宇宙に滞在する人々の“食”は地球からの定期的な食糧補給によって賄われているが、その運搬には1 kgあたりおよそ100万円と多大なコストがかかる。こうした背景を受け、野菜を地球から運ばずに現地で栽培する「月産月消」の実現を目標に、植物の炭から生まれる持続可能な人工土壌の開発・普及を進めている。月面という過酷環境においても持続可能な農業システムは、効率的で場所を選ばない新しい農業の形として、地球上での活用も期待されている。
なぜできるのか?
あらゆる環境下で良質な土壌作りが可能
月面の土を農業に適した土に変えるために、「高機能ソイル」という独自の技術が用いられている。高機能ソイルとは、従来は土壌に利用することが難しかった植物の炭に微生物を付加することで、良質な人工土壌を生み出す技術。これを用いれば海上や砂漠の上といった厳しい環境下でも農作物の栽培が可能になる。
連作できる農地に改良
高機能ソイルは、使用する微生物を活性化させることで病原菌の増殖を抑制することができる。これにより、休耕せずに同じ農地で同じ作物を育て続けること(連作)が容易な農地を作ることができる。
再現性の高さ
従来の土壌は場所や気候、土づくりをする人によってばらつきが出るものだったが、高機能ソイルは最少で2種類の有機肥料の液肥(液体の肥料)と植物炭等の土壌の核、微生物源で完成するため、条件に左右されにくい高い再現性を実現している。
低コスト・短期間での農場開発
地球の土を運ばずに現地の資源から農業に適した土づくりを行うため、地球からの輸送物資量を大幅に減らし導入のコストを抑えることができる。また、通常は3〜5年ほどかかる農業に適した土づくりが高機能ソイルを用いるとおよそ1ヶ月ほどで完成させることができるため、短期間での農場の開発・拡大が可能である。
相性のいい産業分野
- 農業・林業・水産業
荒地や海上での農地開拓プロジェクト
- 環境・エネルギー
ゴミ埋立地での自然環境の再生・農地化
- アート・エンターテインメント
宇宙飛行士の心を癒す宇宙ステーション内植物園
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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