No.409

2021.09.08

嗅覚をサポートする“鼻輪ウェアラブル・デバイス”

Stereo-Smell via Electrical Trigeminal Stimulation

Stereo-Smell via Electrical Trigeminal Stimulation

概要

「Stereo-Smell via Electrical Trigeminal Stimulation(ステレオスメルヴァイアエレクトリカルトゥライジェミナルスティミュレーション)」とは、鼻に装着することで臭いの方向性や位置を伝える嗅覚デバイスである。デバイスが臭いを感知し、三叉神経(顔の皮膚などの感覚を司る神経で、圧力・振動・温度の変化を感知する)を電気で刺激することで、臭いの発生源の特定をサポートする。従来デバイスは、装置自体が大型だったり、体内に電極を装着するなどで身体負荷が大きく日常的な使用が難しかったが、本デバイスは着脱が容易で負担も少ない。Stereo-Smell via Electrical Trigeminal Stimulationの開発が進めば、無嗅覚症など嗅覚を失ってしまった人の生活支援デバイスとして役立つと期待される。

sumell本体

なぜできるのか?

三叉神経へのフォーカス

鼻腔内に神経の末端部分を持つ三叉神経に着目しデバイスを開発。人が臭いを感じる際、三叉神経と嗅球(嗅覚処理を司る脳の領域)が連携して臭いの温かさ、新鮮さ、渋さなどを感知するため、その感覚連携を活用している。三叉神経に着目した理由は、嗅球では難しい鼻孔ごとの臭いの濃度・違いの認識ができるためである。また、三叉神経の感度を高めるため、ユーザーが息を吸うタイミングに合わせて電気刺激を実施。ユーザーの吸気をフォトリフレクタ(反射を利用し物体の有無を検知する部品)で検知し、呼吸パターンを追跡している。

ユーザーの負担が少ないデバイス設計

Stereo-Smell via Electrical Trigeminal Stimulation は、脳領域にある嗅球へ電極を埋め込む従来型とは異なり、ユーザーの鼻の中隔(鼻の左右を分ける壁)をまたいで鼻輪のように装着が可能。デバイスの両端に設置された2つの磁石で固定するため、ユーザーが簡単に着脱でき、負荷の少ない仕組みになっている。また、デバイスを使用するためのトレーニングは不要で、簡単に利用ができる。

外部の臭いセンサーの活用

臭いやガスの測定には外部の臭いセンサーを使用。臭いセンサーで取得した測定値に基づき、デバイスが鼻中隔に与える電気刺激を決定する。臭いセンサーとデバイスはBluetoothで通信を行う。ガスなどの臭いを検知した際は、デバイスのパルス幅(電流や電圧の波形が上がって下がる時間間隔)をコンピュータ制御で変化させ、臭いの強さや方向性を示す。

相性のいい産業分野

医療・福祉

嗅覚を失った人が臭いを把握し危険を回避できるデバイスの開発

流通・モビリティ

電車や飛行機の点検時に装着して異臭・危険を発見する補助装置

食品・飲料

食品や飲み物等の製品の劣化を検知する品質管理での活用

農業・林業・水産業

農水産物の収穫タイミングを計る判断材料として活用

アート・エンターテインメント

嗅覚デバイスでゴールを目指す迷路

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : ©Computer Science Department, University of Chicago

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