No.410

2021.09.09

動きと感覚をデジタル化して体験を共有するシステム

BodySharing(ボディシェアリング)

ボディシェアリング

概要

「BodySharing」とは、動きや感覚をデジタル化し、バーチャルアバター・ロボット・他者などと相互に共有するシステム。人の動作でコンピュータのアプリケーションが動き、VR・AR空間や遠隔で起きた出来事触感・重量感などで操作者にフィードバックされる。従来の技術は、人が操作を行い一方的にアバターなどを動かすことが主軸だったが、BodySharingは操作者に情報を返すため、一体感・臨場感のあるバーチャル体験を可能とする。活用の対象範囲は、ゲームなどのエンタメや遠隔レジャー、製造等のロボット操作、教育・研修、医療・ヘルスケアなど多岐に渡る。今後、BodySharingで身体全体の相互共有が可能となれば、場所・時間・身体などの制約を超えて人の可能性を拡張すると期待される。

なぜできるのか?

身体情報を伝える筋変位センサー

筋変位センサーは、BodySharingの機能のうち人の身体情報を伝える技術。腕に巻く装置に実装されており、筋肉の膨らみ・力の入れ具合・動き(筋変位)を読み取って、データ化してコンピュータに伝える。

VR・ARとの連動

VR・ARのコンテンツやゲームなどと連動し、特定の動作を行うと、バーチャルの世界で物を投げる・銃を撃つなどの操作ができる。ロボットと連動する場合は、動きだけではなく力の入れ具合も伝えることが可能。ウェアラブル装置とVRゴーグルがセットの「FIRST VR(ファーストブイアール)」として製品化もされており、ユーザの筋肉の動きを検出・学習するAIシステムを搭載し、初心者でも短時間でセットアップできるように設計している。

触感などを与える機能的電気刺激の技術

「機能的電気刺激」は、デジタルデータをもとに人にフィードバックを返す技術。腕に巻く装置に電極を設置し、筋肉に電気刺激を与えて収縮させ、ユーザに触感・重量感・動作などを与える。VR・AR画像と連動して、鳥が手に止まる感覚や、銃の反動などを感じることができる。機能的電気刺激は通常、専門家のみが扱う使用が難しい技術だが、同一の機能を安定的に再現するキャリブレーション機能を実装し、専門知識が無くても活用を可能とした。

28個の電極を持つ「ポゼストハンド」

電極数・動作制御範囲は製品ごとで異なるが、28個の電極を持つ「PossessedHand(ポゼストハンド)」では、特定の指の関節の曲げ伸ばしなど複雑な動作も実現する。NTTドコモと共同で、頬にデバイスを装着し他人の口の動きを電気刺激で伝えて口を動かす「FaceSharing(フェイスシェアリング)」など、進化版の技術開発も行っている。

相性のいい産業分野

アート・エンターテインメント

VR空間の出来事が実感できる没入感の高いゲーム・イベントの開発

旅行・観光

リゾート・レジャー施設のVR映像と組合せた遠隔アクティビティ体験

医療・福祉

筋肉の動きなど身体情報を活用したリハビリ・トレーニングの提案

ロボティクス

危険地域・施設で人の代わりに作業を行う遠隔ロボットの開発

教育・人材

伝統工芸や製造現場などで、職人技・熟練技の動作や感覚が学べる教材の開発

生活・文化

身体機能に制限がある人でも仕事やレジャーを満喫できるデバイスの開発

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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