No.424
2021.12.10
素材から循環型の都市づくりを目指すプロジェクト
RECAPTURE(リキャプチャー)
概要
「RECAPTURE(リキャプチャー)」とは、素材の面から循環型の都市づくりを目指すプロジェクト。再生利用可能な素材を、3Dプリンターによって加工・再利用することで、素材循環型の新たなプロダクトサイクルを実現している。これまで、日常生活で使われる家具などは使用後に廃棄されるケースが多く、ゴミ処理場の残余容量の限界や環境汚染などの課題があった。一方、RECAPTUREによるプロダクトは、素材を循環させることで廃棄物を減らし、環境負荷を抑えることができる。将来的には、モビリティや建築物、建造物といったさまざまな都市の構成要素を再生利用可能素材に置き換えることによる、持続可能な循環型社会実現への貢献が期待される。
実現事例 実現プロジェクト
コーヒーかすを使った家具 by RECAPTURE
循環型の都市づくりを目指すプロジェクト「RECAPTURE」の一環として開発された「コーヒーかすを使った家具」は、有機廃棄物であるコーヒーかすを素材として用いた大型3Dプリント家具。使用後や壊れた後も、分解し再び素材へと転換することで、環境負荷を最小限にしながら半永久的にプロダクトを作り続けることができる。抽出後のコーヒーかすからは温室効果ガスであるメタンガスが発生することもあり、素材として活用することでガス排出の減少にもつながる。今後は、カフェや食品メーカーとの協業により、オーダーメイドのプロダクトとして開発予定。
自然に還る家具 by RECAPTURE
循環型の都市づくりを目指すプロジェクト「RECAPTURE」が手がける「自然に還る家具」とは、⽣分解性バイオマス素材である酢酸セルロースをベースとした新素材「NEQAS OCEAN」を用いた、自然分解する3Dプリント家具。使い終わったものは、微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、従来のプラスチック製家具よりも環境への負荷が少ない。さらには、分解された素材は次のバイオマス素材(水と二酸化炭素によってできる)の生成につながるため、素材が循環する回帰性プロダクトとして注目を集めている。
なぜできるのか?
素材の循環活用
プロダクトの素材には、生分解性バイオマス素材や有機廃棄物などを使用。使用後にゴミとして廃棄するのではなく、分解させ次の素材生成・プロダクト製造につなげることで、廃棄物の少ない持続可能なプロダクトサイクルを実現している。
3Dプリンティング技術による自由度の高いプロダクト製造
RECAPTUREは、3Dプリンティング技術によって今まで素材として用いることが難しかった資源から、空間や体験に合わせた造形を持つプロダクトを製造。製造プロセスの構築は、3Dプリンターで机・椅子など大型家具の製作実績を持つ、株式会社Booleanが担当している。3Dプリンター⾃体も、⾃然エネルギーを動⼒源としており、エネルギーの視点からも持続可能なプロジェクトを行なっている。
相性のいい産業分野
- 資源・マテリアル
粗大ゴミを100%再利用して新しいものを生み出すリサイクルシステム
- 住宅・不動産・建築
資源を再利用しながら新しいかたちに変化し続ける都市デザイン
- 製造業・メーカー
使用後その場で捨てることができるアウトドアグッズ
- 医療・福祉
素材をリサイクルして作る患者一人一人の身体に合った医療用ベッド
- アート・エンターテインメント
自然の中で展示し数年後には自然に還るアート作品
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 NOD
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