No.425
2021.09.16
空間が自然増殖する、NFTを使ったバーチャル建築
CELLSPACE
概要
「CELLSPACE(セルスペース)」とは"生命体のような建築"をコンセプトに、バーチャル空間とNFTの特性を用いて制作されたデジタルアーキテクチャー。デジタル上の空間(=CELL)が一定の保有期間を養分にして生き物のように増殖・変化し、ユーザーは空間(=CELL)をNFTで購入することにより、コレクションまたは不動産として所有することができる。VRを使い空間に入ったり、空間内の形状を変更したりすることも可能で、アート等の作品展示や物品販売用のテナントとしても応用が見込まれている。単なる3Dモデルの売買だけではなく、時間と共に成長・変化する建築という、NFTの特性を生かした新しいビジネスモデルの確立とコミュニティの創出が期待されている。
なぜできるのか?
NFTを活用した、売買可能なデジタル不動産
一般的にデジタルデータはコピーや改ざんが容易なものだが、ブロックチェーン上のデジタルデータは参加者間の相互検証によってコピーや改ざんが困難であり、デジタル空間で価値のやり取りを可能にしている。NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)はコンテンツやデジタルアイテム全般にブロックチェーンによって価値を紐付けるものであるため、偽造不可な鑑定書&所有証明書付きのデジタルデータであるといえる。このNFTの特性とデータを無限に増殖できるデジタルデータの特性を活かして、売買可能な”不動産”としてバーチャルに作り出した建築がCELLSPACEである。
生成メカニズムによる空間の増殖
毎週月曜日の正午に生成メカニズムに基づいて空間が増殖される。月曜正午に世界の人口が抽出され、それを元に乱数を生成。作成した乱数を、CELLSPACEに存在する辺の総数と確率に応じて必要な数を加えた数で割り、その余りに応じて次の空間(=CELL)が増える辺が決定される。生成メカニズムは、各回数ごとに約2%生成される確率が減少する。増殖した空間(=CELL)の所有者は新たな空間(=CELL)の所有者となる。
空間の設計変更や取引
売買時テナントの利用方法に伴い、設計変更料は1ETH(イーサリアム:仮想通貨)で空間(=CELL)変更を設計者と共に行うことができる。また、NFTにより所有者が明確なため、不動産と同等に取扱いが可能。取引や増殖した空間(=CELL)は所有者の履歴が確認可能で、過去の所有者の趣味嗜好により空間が変化していく。
VR等による空間体験
パソコン・スマートフォン・VRヘッドセットで空間の体験が可能。また、システム設計を行ったUrthが提供しているVRmallでは、アーティストや小売店などさまざまな業者がVR空間で販売を行っており、CELLSPACEでも同様にVR空間の中で販売や展覧会が開けるようシステムを整えている。