No.428
2021.09.17
デジタル資産をサポートする次世代のブロックチェーン
Flow
概要
「Flow(フロー)」とは、高速・安全でなおかつ開発者に優しい新しいブロックチェーンである。Flowは、新世代のゲーム、アプリ、およびそれらを生み出すデジタル資産管理の基盤として設計された。従来のブロックチェーン上のアプリ開発などは、イーサリアム(Ethereum/ETH)上で行われることが一般的だったが、技術の進歩や利用者の増加に伴い、スケーラビリティ(拡張性)問題や送金手数料の高騰、技術者の不足などの多くの問題を抱えていた。Flowが普及することでそれらの問題が解決され、デジタルの資産管理やNFTの更なる発展につながることが期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
NBA Top Shot
「NBA Top Shot」は、アメリカのプロバスケットボールリーグのNBAとブロックチェーンベンチャーの「Dapper Labs」によって提供されるトレーディングカードサービス。NBA選手のシュートやドリブルのシーンなど、NBAの試合のハイライト動画をデジタルカードとして所有することができる。NFTを使用することで大体不可能な唯一性が保証されているため、コレクターはNBA Top Shotのデジタルカードを購入・販売・取引することが可能だ。有名なハイライトやスター選手のカードは高値で取引されており、デジタルでのトレーディングカード市場が実現している。
なぜできるのか?
スケーラビリティ対策とトランザクション
スケーラビリティ問題の一つとして、トランザクション(複数の処理を一つの処理としてまとめたもの)の承認に時間がかかることが挙げられる。Flowでは承認の手続きを4つに分割し、それぞれのノードやバリデータで処理することで、高速化を図ることができる。従来のトランザクション承認の軽減方法では、シャーディング(同じ工程を複数に分割して処理する水平方向への展開)と呼ばれる手法が採られていた。しかしFlowは、トランザクション承認を特徴のある4つの工程に分割し、それぞれが異なる処理を専門的に担当して処理する、垂直方向への展開を可能とした。それによって効率性が大幅に向上し、理論上は従来の数百倍の処理速度を実現することができ、NFTにおいても、より自由度の高い作品が表現できることとなる。
迅速な決済処理
トランザクション速度の向上により、決済においてもスムーズな処理が可能となる。また、将来的には、仮想通貨だけでなく、法定通貨でも利用する構想がある。
開発者に優しい設計
イーサリアムのブロックチェーンを利用する場合、Solidityという独自のプログラミング言語の習得が必須だった。しかしFlowの場合は、より簡易で学習しやすいケイデンスという言語が採用されている。仮想通貨やブロックチェーンといった専門知識がなくても、ストレスなく開発できる豊富なSDK(ソフトウェア開発キッド)も用意されており、技術者の新規参入も容易である。
相性のいい産業分野
- アート・エンターテインメント
デジタル上で独自のキャラクターを所有できる、NFTを利用したゲームアプリ
- 金融・保険
仮想通貨取引によるNFT作品の出品・購入・保管
- スポーツ
スポーツの試合の印象的なシーンをコレクションできるNFTサービス
- 食品・飲料
味覚や嗅覚などをデジタル化することによる料理の再現やレシピの売買
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © DapperLabs