No.464
2021.10.26
台風の勢力拡大を泡のカーテンで沈静化
Bubble Curtain(バブルカーテン)
概要
「Bubble Curtain(バブルカーテン)」とは、海中に無数の泡を発生させ海水温をコントロールすることで、台風やハリケーンの勢力拡大を未然に防ぐ技術。海中に無数の泡を送り込むことで、泡が水中の冷たい海水を水面に押し上げ、水面付近の暖かい海水と混ざり水面温度が下げられる。これにより水面の温度上昇から生じる熱帯低気圧の発生・拡大が防がれ、熱帯低気圧が台風やハリケーンへと拡大化することを防ぐ仕組みだ。海域を監視し、熱帯低気圧の規模が小さいうちに沈静化することで、災害を未然に防ぐことができるとの期待が寄せられている。
なぜできるのか?
ノルウェーで1960年代後半から使われてきた技術を応用
ノルウェーでは、冬に氷河の侵食で形成されるフィヨルドに氷が張るのを防ぐために、50年も前から、暖かい海中の海水と冷たい水面付近の海水を混ぜて水面温度を上げる技術が使われてきた。それを逆に応用して水面温度を下げる「バブルカーテン」の技術が誕生した。
泡で海水の流れを発生させ水温をコントロール
海中に大量の泡を発生させ、無数の泡が水中の海水を押し上げる原理を活用する。泡によって海中の冷たい海水が水面に押し上げられ、水面付近の暖かい海水と混ざり合う。その結果、水面の海水温度が下がり、熱帯低気圧の発生・拡大が防がれる。熱帯低気圧の拡大によって起こる台風やハリケーンの発生を未然に防ぐことにつながる。
移動する船と長いパイプにより必要な場所で泡のカーテンを生成
船に泡の開いたパイプを取り付け、パイプに空気を送り込むことで海中に無数の気泡を放出する。大量の気泡が海中の冷たい海水を浮き上がらせる。研究では1500mのパイプを船につけ、必要な場所で泡のカーテンを作れるようにしている。
政府や研究評議会、投資家グループからの資金援助
プロジェクトの実行には何千万ドルもの資金が必要になるが、プロジェクト実現の可能性への実験は、政府による資金援助を受けることが可能。実際にノルウェー政府やノルウェー評議会、ノルウェーの投資家グループなどから資金援助を受けている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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