No.474
2021.11.02
鎖帷子の形状を活かした新素材
圧力に応じて硬さが変わる素材 by カリフォルニア工科大学
概要
カリフォルニア工科大学が開発した「圧力に応じて硬さが変わる素材」とは、粒状の部品を鎖帷子(くさりかたびら)のようにつなげた、外力に応じて柔らかくも硬くもなる新素材。通常の状態では折り畳めるほど柔らかいが、圧力を加えるとパーツ同士がかみ合って目が詰まり、変形しにくくなる。カリフォルニア工科大学の実験では、自重の50倍以上に相当する1.5 kgの重りを支えることに成功。将来的には、着心地と耐衝撃性を両立させた医療用サポーターや、運搬時は小さく折りたたみできる橋や大型構造物などさまざまな応用が期待されている。
なぜできるのか?
ジャミング転移の利用
硬さの変化には、ジャミング転移と呼ばれる現象を利用している。ジャミング転移とは、砂や粉などの粉末素材に見られるもので、密度が低いと流体的な特性を持ち、密度が高いと固体的な特性を持つ現象。カリフォルニア工科大学の研究チームは、中空構造のパーツを連結させることでジャミング転移可能な素材を生み出した。
八面体パーツによる効率的な剛性変化
鎖帷子型素材のパーツは、3Dプリントによって作られる中空の八面体を採用。パーツ同士の接触数が多いため、効率的にジャミング転移による剛性変化を引き起こすことができる。
相性のいい産業分野
- 医療・福祉
硬さを調整できる医療用サポートウェア
- 住宅・不動産・建築
運搬時は小さく折り畳める大型構造物用素材
- 旅行・観光
折り畳んで携帯できる旅行用椅子・テーブル
- 生活・文化
硬化して衝撃を防ぐ防災ずきん
- アート・エンターテインメント
たなびかせながら飛行でき、硬化して防御もできるヒーローマントの再現
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © カリフォルニア工科大学