No.482
2021.10.18
拡張現実と仮想現実を結ぶ音声AR空間
オーディオメタバース
概要
「オーディオメタバース」とは、拡張現実と仮想現実を結び付け、いつでも誰もが交流可能な音声AR空間を形成する技術。物理的な世界にいるユーザーは遠隔地に接続しているユーザーと全く同じ空間体験を共有でき、「キューブ」と呼ばれる独立した音声AR空間で、対話的に交流することができる。従来のソーシャルオーディオのプラットフォームはホストがルームを作成し、参加者がいる瞬間のみユーザーとの交流の場が実現していたが、オーディオメタバースのキューブは一度つくられると無期限に存在し、現実空間の場所のようにいつでもそこへ入ることが可能となる。自然な没入感と交流の機会を共有できる、新たなプラットフォームとして構築されることが期待されている。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
現実世界と仮想空間が交じり合う「META STREET LIVE」
オーディオメタバースの音声空間とAR・VRの技術を掛け合わせれば、現実世界と仮想空間を融合させた新しい形態の音楽フェスができるかもしれない。
このサーキット型のLIVEフェスでは、観客はリアルな街における現実世界とオンラインの仮想空間、どちらからでもLIVEに参加することができる。舞台となる街には、遠隔で演奏されている国内外のあらゆるアーティストのリアルタイム演奏音源を内蔵したキューブが設置されている。現実世界のユーザーはスマートグラスによるARの視点や3Dオーディオを通じてライブの音声が鳴るキューブへと入場することができ、仮想空間から参加するユーザーはアプリケーションのマップに表示された複数のキューブの中から自身が聴きたい地点のキューブをタップすることで自由にオンライン入場することができる。
現実空間と仮想空間、視覚と聴覚が混じり合い越境しながら、あらゆる人々に解放された次世代の音楽体験を提供することができる、インクルーシブなストリートライブとなるだろう。
実現事例 実現プロジェクト
EDMライブイベント「東京上空フェス」
2021年8月8日午後8時、東京上空に仮設営された音声AR空間内でオーディオメタバース技術を用いた世界初の音楽フェスを開催。音声AR技術を用いて音楽家と聴衆が同一空間内でライブ音楽を楽しめる「スカイステージ」アプリを限定配布し、その空間内で音声ARライブイベントを実施した。
この空間では参加したオーディエンス達がステージ上でアーティストが演奏するEDMを聴きながら直接声援を送ったり、その場で語りかけることによって単なるリスナーからそのライブ空間を創造する共同創作者になることができる。海外音楽シーンでの活発な活躍で知られる齋藤久師氏と、人工知能を用いた作曲など先端的な音楽活動で知られる早川大地氏によって1時間に渡るパフォーマンスが繰り広げられた。
なぜできるのか?
空間の単位「キューブ」
アクセスしたユーザーは「キューブ」と呼ばれる独立した音声AR空間で、対話で交流することができる。ユーザーが継続的なオーディオ体験をデザインする方法も想定しており、この体験は「キューブ」内の記憶として保存され、ユーザーが望めばいつでも再訪、再体験することができる。
NFTによるデジタル資産化
空間オーディオによって構成された音声AR空間をGPSとインターネットアドレス双方でアクセス可能にし、暗号化した土地台帳に記帳することでNFT(非代替性トークン)でデジタル資産化。空間の「キューブ」の所有権は、NFTの販売を通じ、売却・貸与・移動することもできる。
簡易な参加方法
ユーザーは、オーディオメタバースに参加するために特別な機器や環境を必要としない。空間オーディオに対応したイヤホンであれば、誰でも体験を味わうことができる。その場所に行かなければならないというハードルを取り除きながら、三次元的なリアリティの溢れる空間交流を提供することができる。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
音声空間による、仮想と現実が融合したコミュニケーション・プラットフォーム
- 生活・文化
現実の場所のように自らの好みのAR空間に気軽に立ち寄れるカルチャー
- アート・エンターテインメント
ARを効果的に使ったライブイベントや、デジタル価値のあるオーディオ空間の売買
- 旅行・観光
観光地に「キューブ」を設置した音声案内施設や、音声の思い出を残したスポット
- IT・通信
音声AR空間を利用したオンライン展示会や企業のカンファレンス
- 教育・人材
空間にオーディオ化したマニュアルや教材を設置することによる育成の効率化
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Audio Metaverse 株式会社