No.491
2021.11.12
海藻から生成した食べられる包装素材
Biopac(バイオパック)
概要
「Biopac(バイオパック)」とは、海藻を原材料とした食べられる食品包装素材。プラスチックは耐久性やコスト、加工の容易さなどから食品の包装にも多く使用されているが、分解が難しく、プラスチック廃棄物による環境汚染は深刻さを増している。Biopacは天然素材でできているため、微生物によって分解が可能。世界中で脱プラスチックへの取り組みが進む中で、プラスチックの代替品として期待されている。
なぜできるのか?
海藻を使用した環境に優しい製造方法
Biopacはインドネシアの豊富な天然資源である海藻から製造される。海藻は他の植物よりも栽培にかかる期間が短く、農地や肥料、栽培用の土地などを必要としない。さらに、製造工程での水の使用量も少なく、廃棄物を出すこともない。プラスチック製の包装材の代替品として使用されることの多い紙製の包装材と比較しても、森林伐採やプラスチックのラミネートが不要なため、環境に優しく、持続可能な社会の実現に貢献できる。また、海藻の生産過多によって貧困に苦しむインドネシアの海藻農家への支援にも繋がっている。
野生動物の安全を守る生分解可能な成分
Biopacに使用されている全ての成分は微生物によって分解可能なため、家庭用ゴミ箱に捨てることができるだけでなく、陸や海などに廃棄された場合にも環境を汚染しない。水に溶ける素材のため、海でも土の上でも分解される。野生動物への被害が大きい廃プラスチック問題の解決に繋がることが期待できる。
加工性と安全性の高さ
Biopacは、着色や印刷、ヒートシール、厚さの調整などできるため、様々な食品の包装に加工することが可能。現在は、2サイズ展開のシート状の包装材、直接食品に接触する目的で使用できる食品グレードのラップ、ストローの小袋、コーヒーや紅茶のパックなどが販売されている。なお、食物アレルギーの原因となるアレルゲン食品や動物性食品を含まないため、アレルギー疾患をもつ人やヴィーガンも食べることができる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : ©Biopac