No.512

2021.11.26

宇宙から降り注ぐ素粒子「ミューオン」でマグマの内部を可視化

原子核乾板フィルム

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概要

「原子核乾板フィルム」とは、宇宙から降り注ぐ素粒子「ミューオン」を記録できる特殊なフィルム。活火山を取り囲むように「原子核乾板」フィルムを地中に設置したのち、高速フィルムスキャン装置を用いてフィルムに降り注いだミューオンを解析することで、山体の内部をエックス線撮影のように詳細の立体構造を明らかにし、全方位から解析することが可能となる。今後、活火山の内部をリアルタイムで観測できるようになれば、的確な避難行動にも繋がるため、科学の面だけでなく防災の面からも研究の進展に期待が寄せられる。また、ピラミッド内部の解析、原子力発電所の原子炉内部の解析、トンネルや橋など土木建造物の非破壊検査などにも活用が期待される。

マグマの内部を可視化

なぜできるのか?

素粒子「ミューオン」を使った物体の透視技術

宇宙から降り注ぐ素粒子「ミューオン」は、レントゲンに使われるX線よりもはるかに高い透過力を持ち、物体を透過するが、物体の密度が高い時には透過率が下がる性質を持つ。その原理を利用して物体の内部構造をレントゲン撮影のように透視することができる。ミューオンを火山内部の透視に応用することで、これまで崖のない部分では観察できなかった活火山内部の詳細の立体構造を明らかにすることが可能となる。

特殊な乳剤を使ったフィルムと高速スキャン

「原子核乾板」と呼ばれる、特殊な乳剤を塗ったフィルムを、火山を囲う観測点に設置して記録。宇宙から降り注ぐ素粒子「ミューオン」を記録したフィルムを、高速フィルムスキャン装置を用いて解析する。この方法は、幾多の方向にフィルム設置することによって、従来の他の観測方法よりも多方向から解析することができ、これまでになかった解像度で火山内部の立体構造を明らかにすることに成功。

相性のいい産業分野

官公庁・自治体

これまで予測しづらかった活火山の活動が予測でき、的確な避難勧告

環境・エネルギー

活火山の活動予測を火山の熱利用に生かし、地熱発電に活用

AI

解析データをAIやスーパーコンピュータ解析にかけ、天候・地殻変動研究に活用

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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