No.621
2022.03.02
強制労働ゼロを目指すエシカルなチョコレート
Tony's Chocolonely(トニーズ・チョコロンリー)
概要
「Tony's Chocolonely(トニーズ・チョコロンリー)」とは、オランダのジャーナリスト・Teun van de Keuken(通称TONY)氏がプロデュースするチョコレートブランド。これまで、チョコレートのサプライチェーンにおいて原料となるカカオの生産農家に対する不当な賃金と搾取が問題視されてきた。こういった実態を取材したKeuken氏は、チョコレート産業の問題を知らしめるため自ら「Tony's Chocolonely」を設立。農家へフェアトレード規定の労働賃金平均よりさらに25%多く配当し、労働者を搾取しない仕組みを取る。本国オランダではチョコレート市場のリーディングカンパニーに成長し、エシカルなチョコレートブランドとして世界的に注目を集めている。
なぜできるのか?
チョコレート産業の不当な労働搾取を是正する活動
Teun van de Keuken氏は、自身が担当するテレビ番組で、カカオ産業における違法労働・児童の強制労働の実態を取材。大手チョコレート販売企業にフェアトレードなカカオの使用を直訴するなど、是正に向けた活動を行ってきた。
独自の調達ルートでカカオ農家を支援
「Tony's Chocolonely(トニーズ・チョコロンリー)」では、中でも搾取の激しいガーナとコートジボワールの農家と直接取引する独自の調達ルートを開拓。フェアトレードで規定されている労働賃金よりもさらに25%割増料金を支払い、カカオ農家が暮らしていける十分な収入を得られるよう支援する。
社会問題を分かりやすく伝えるデザイン
パッケージには、子供でも楽しめるカラフルなデザインを採用し、ポップなインフォグラフィックスで同社のミッションをわかりやすく説明。チョコバーの不揃いな割れ目は、現在のチョコレート産業の不平等さを象徴している。
サプライチェーンを無償公開
「Tony's Chocolonely」では、自身が開拓したサプライチェーンを無償公開し強制労働ゼロを呼びかける「TONY’S OPEN CHAIN」をリリース。オランダ国内を中心に数社が賛同し、正当な対価を支払うサプライチェーンの輪を広げている。また、原料のカカオ豆もカカオバターもどこで栽培されたものか追跡可能。
相性のいい産業分野
- 食品・飲料
食品を生産者から直接購入し正当な対価を支払うサプライチェーンの構築
- 旅行・観光
チョコレートの生産過程や仕入れを体験できるツアー
- 農業・林業・水産業
生産者同士が豊かに暮らせる労働組合の設立
- メディア・コミュニケーション
取引ごとに料金を追加し、間接的に生産者を支援できるAPIベースのマーケットプレイス
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Tony's Chocolonely