No.640

2022.03.15

人間の“器用さ”の限界を越えるマイクロマニピュレーション

精密バイラテラル制御システム

精密バイラテラル制御システム

概要

「精密バイラテラル制御システム」は、人の手の感覚をそのままに、10分の1スケールの世界での細かな作業を可能にする遠隔操作ロボット技術。精密メカ設計・高精度力覚センサー・精密加速度制御といった複数技術の統合により、自分の身体が10分の1のサイズになった感覚で精密操作を行うことができる。精密バイラテラル制御システムは、滑らかで可動域の広いメカ設計によって、従来の手術では難しい細かなレベルの動きや、体内の脆弱な組織を扱う作業にも対応。将来的には、高度な操作性や安全性が求められる医療現場での支援ロボットとしての活用が期待されている。

なぜできるのか?

高い応答性と精密加速度制御を持つ制御システム

精密バイラテラル制御システムは、常に安定した動作と小さい力を正確に伝達できる高い応答性と精密加速度制御によって、位置と力に対して1対10のスケールでの操作が可能。操作者が手を10mm動かせばロボットの先端が1mm動き、ロボットの先端が1gf(重量グラム)の力で環境と接触すれば10gfの力が操作者に伝わる。

FBGセンサーによる高感度な力覚センシング

精密バイラテラル制御システムのツール先端部には、超細径なファイバー形状でありながらセンサー部のひずみ量を光の情報から高感度に測定できる特殊なセンサー「FBGセンサー(光学式のひずみセンサ)」を搭載。FBGセンサーによって、先端にかかる力を測定する仕組みを用いることで、軽量でありながら高感度な力覚センシングシステムを実現している。

FPGAによるリアルタイムな電気信号の伝達

精密バイラテラル制御システムにおける電気的処理には、自由にプログラム設計可能な集積回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)を採用。FPGA上に、独自の信号処理アルゴリズムや通信モジュールを実装することで、センサーなどから伝達される電気信号の処理速度を高め、通信遅延やノイズの影響の少ないリアルタイムな信号伝達を実現している。

回転可動域の広いケーブル駆動機構

精密バイラテラル制御システムは、ケーブル駆動を用いた回転可動域の広い機構を採用。コンパクトでありながら人の手首並みの回転可動域を実現している。

相性のいい産業分野

医療・福祉

傷口の少ない精密な手術支援用ロボット

製造業・メーカー

遠隔での精密機械操作や小型部品の取扱い用ツール

ロボティクス

小型ロボットを実際に乗り込んだ感覚で操縦

アート・エンターテインメント

10分の1スケールでのプラモデル制作

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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