No.647

2022.04.25

体内を泳いでがん細胞に作用するマイクロロボット

Shape-Morphing Microrobots

Shape-Morphing Microrobots Deliver Drugs to Cancer Cells 1-25 screenshot

概要

「Shape-Morphing Microrobots」とは、ハイドロゲルで3Dプリントされた、血管を移動してがん細胞に直接薬剤を届けるマイクロロボット。磁石で誘導し血管などを介してターゲットのがん細胞まで移動し、目的付近で薬剤を放出することで、がん細胞のみを的確に攻撃できる。従来、がんの有効な治療法として、抗がん剤による化学療法が知られてきた。しかし、この治療法は、がん細胞以外の正常な細胞まで攻撃してしまうため、大きな副作用が伴う。一方、「Shape-Morphing Microrobots」を用いた治療法では、がん患者の副作用の症状を軽減することが予想されており、医療現場での実用化が期待されている。

Shape-Morphing Microrobots Deliver Drugs to Cancer Cells 1-8 screenshot

Shape-Morphing Microrobots Deliver Drugs to Cancer Cells 0-51 screenshot

なぜできるのか?

がん細胞のpHの違いを利用し薬剤を自動投与

「Shape-Morphing Microrobots」は、材料にハイドロゲルと呼ばれる寒天やゼリーのような素材を使用。製造には3Dプリンターが用いられ、口や爪の部分など特定の部位の印刷密度を調整することで、pHの変化に応じて変形し開閉できるよう設計されている。腫瘍の周りの酸性環境に到着するとpHで変形し、保持していた薬剤を開放。標的であるがん細胞に自動で投薬できる。

磁力による操縦が可能

実証実験では、「Shape-Morphing Microrobots」を酸化鉄ナノ粒子を含む溶液に入れることで磁性を付与。これにより、動きをコントロールし、磁石によってマイクロロボットを特定の場所まで誘導でき、ターゲットとなるがん細胞まで誘導することが可能となった。

相性のいい産業分野

医療・福祉

がん細胞を狙い撃ちし、がん患者の副作用を軽減

ロボティクス

カメラを搭載し体内環境を内視検査

IT・通信

搭載された小型センサーで血管内の血流をモニタリングし体外に送信

生活・文化

乳酸菌を生きて腸まで届け、腸内細菌を改善するマイクロロボット

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© American Chemical Society