No.683

2022.04.14

センチメートル級の高精度測位サービス

ichimill(イチミル)

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概要

「ichimill(イチミル)」とは、衛星などから受信した信号を利用して誤差数センチメートルの高精度測位を可能にするサービス。日本全国3,300ヵ所以上の基地局を独自の基準点として高密度に活用することで、自動運転車や遠隔ロボット等を広範囲・安定的にコントロールすることが可能となる。従来の一般的なGPSでは主に誤差数メートルの発生も許容範囲とされてきたが、固定局と移動局の2つの受信機を利用し、リアルタイムに2点間で情報をやりとりする「RTK(Real Time Kinematic)測位」を用いることで、これを解決。物流や監視、測量、農業など、さまざまな分野のDXを推進する技術として活用が期待されている。

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なぜできるのか?

位置情報を精密に算定する「相対測位(RTK)」

「ichimill」では、準天頂衛星「みちびき」などのGNSS(全世界測位システム)を活用した「相対測位(RTK)」を採用。これは、4つ以上のGNSSから送信された信号を固定局と移動局の2つの受信機で受信し、2点間でリアルタイムに情報をやり取りすることで位置のずれを補正するという方法で、1台の受信機で測位を行う「単独測位」よりも精密に位置情報を算定できる。

全国3,300ヵ所以上の基地局

開発元のソフトバンクでは、「相対測位」に必要な固定局(独自基準点)を全国3,300カ所以上に設置。全国に高密度で基準点を配備することで、非常に短い時間で安定的な測位とハンドオーバー(基地局の切り替え)が実現するため、測定対象が基準点をまたぐような長い距離を移動する際も、継続して高精度な測位が可能となる。

エッジRTKとクラウドRTK

ソフトバンクでは、デバイス(移動局)に搭載したGNSS受信機で演算して位置情報を確定する「エッジRTK」と、クラウド上で演算して位置情報を確定する「クラウドRTK」の2種類を提供。省電力・小型化が求められるインフラ点検やウェアラブルデバイス向けに「クラウドRTK」の社会実装を進めている。

相性のいい産業分野

流通・モビリティ

高精度な自動運転やMaaSへの活用

農業・林業・水産業

農業ロボットや農薬散布用ドローンの自動制御

ロボティクス

「ichimill」の測位システムを活用した屋外用監視ロボットの自律走行

生活・文化

誰もが安全・高精度に扱うことができるドローン配達の普及

アート・エンターテインメント

マスゲームの練習で使用し一糸乱れぬパフォーマンスを実現

官公庁・自治体

登山時に「ichimill」受信機の携行を義務付けることで山岳事故時の救助を手助け

IT・通信

位置情報を利用したガイダンス、危険な場所への立ち入り抑制

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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