No.689
2022.04.19
微生物の力を用いたサステナブルな“植物発電”
N-Energy(エヌエナジー)
概要
「N-Energy(エヌエナジー)」とは、植物と共存する微生物が放出する電子を活用した、植物と土を使った環境に優しい発電技術。植物が根を張る土壌や水場に電極を挿すだけで、植物が育つ環境があれば安定的に電力を得られる。従来、環境に優しい発電方法として太陽光発電や風力発電が知られていたが、発電量が天候や時間帯に左右され、安定的な発電が難しい点があった。一方、「N-Energy(エヌエナジー)」は植物に十分な水分がある限り半永久的に発電できる。また、CO2が排出される火力発電や原子力発電とは異なり、N-Energyが電力を生成した時に排出されるのは水のみ。排出される水は植物の根に吸収されるため、植物の更なる成長と発電の維持を促す。ヒトにも環境にも優しい半永久的な発電技術として、今後さらなる有効活用の拡大が期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
botanical light(ボタニカルライト)
「botanical light(ボタニカルライト)」は、「N-Energy(エヌエナジー)」で植物発電した電力で光を灯すライト。電極を植物が育つ土や水に挿しておくだけで、電源がなくても電力を得ることができる。コンセントなどを配線することなく、景観を損ねずに設置し発電でき、電灯として利用する以外にも、イルミネーション、スマートフォンの充電や非常電源、ファンを回す、ミストを出すなど、形を変えて電力利用ができる。
なぜできるのか?
土や水の中の微生物を利用して発電
「N-Energy(エヌエナジー)」は、植物が根を張る土壌や水の中の植物付近のマイナスの電荷を拾い、電力に変換している。また、この電荷は植物と共存する微生物が生命活動をする際に放出するもので、それを利用することで土や水の中のバランスを整え、土壌や水中の環境を改善できるなど、汚染土壌の浄化効果があることが明らかにされている。
電極の取り換えなしで半永久的に発電可能
電気を収集する電極には、プラスの電極として備長炭を、マイナスの電極としてマグネシウムを使用。従来、マグネシウムを用いた発電では、マグネシウムが溶けてしまうため、定期的に取り換える必要があった。しかし、開発元の株式会社ニソールでは、発電してもマグネシウムが溶けない技術を開発。半永久的に取り換えなしで発電できる植物発電を実現した。
相性のいい産業分野
- アート・エンターテインメント
植物園で発電した電力を活用したイルミネーション
- 環境・エネルギー
田畑の土壌で発電した電力を家庭用電力として使用
- 生活・文化
鉢植えの土で発電した電力で発電するスマート園芸電源
- 官公庁・自治体
街路樹の土壌で発電・蓄電し、災害時に予備電力として活用
- IT・通信
街路樹で発電した電力を活用したWi-Fiスポット
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 ニソール