No.690

2022.04.20

ミールワームが生み出す、生分解性循環型システム

Chitofoam(キトフォーム)

Chiofoam

概要

Chitofoam(キトフォーム)システムとは、ミールワームを利用し生成したバイオプラスチック素材「Chitofoam」を中心にした循環型システム。「Chitofoam」素材は、プラスチックを食べて消化分解できる虫であるミールワームの外骨格を加工して製造され、発泡スチロールに劣らぬ性質を備え、さらに従来のポリスチレンのようにバイオプラスチックフィルムに変えることができるだけでなく、堆肥にもなるのでリサイクルを促すシステムを構築する。プラスチックは分解されにくく環境に負荷をかけるという問題があったが、Chitofoamでは、ミールワームがプラスチックを食べてこの点を解消。さらに、代替素材も提供することでプラスチックへの依存を防ぐ。包装材や緩衝材など、これまでプラスチックが使われていた分野全般への応用が期待されるほか、ミールワーム自体も食糧として活用できるため食糧問題へも貢献できる。

Chiofoam

Chiofoam

Chitofoam

Chitofoam

なぜできるのか?

リサイクルに適した性質

「Chitofoam」の主原料は、プラスチックを食べたミールワームの殻などの外骨格から抽出した、キトサンと呼ばれる生体高分子ゲル。これを廃棄物由来のバイオポリマーと混ぜて作られる。さらに、土に埋めると2、3週間で分解され堆肥になるので、環境負荷が低い。ミールワームの体内細菌はプラスチックを分子レベルにまで分解するため、これまで指摘されていたマイクロプラスチックなどの問題に対しても有益な対策になる。

発泡スチロール以上の機能性

「Chitofoam」は、軽量で耐水性を備えており、従来の発泡スチロールよりも柔軟で弾力性がある。そのため、発泡スチロールと同じように成形できるほか、溶かして再利用もできるのが利点。さらに、防カビや抗菌性も併せ持っている。

食糧としても利用できるミールワーム

Chitofoamのシステムの一環を成すミールワームは人間の食糧にもなる。養殖に要する費用やスペースが低く抑えられるので廉価で利用でき、生産によって生じるメタンガス排出量もほぼゼロ。その結果、牛肉の2倍のタンパク質効率という高い栄養効率も有する。

相性のいい産業分野

資源・マテリアル

Chitofoamを使った緩衝材や梱包材

食品・飲料

ミールワームによるプロテイン製品

生活・文化

ミールワームを飼育してペットボトルなどをリサイクルするゴミ箱

環境・エネルギー

プラスチック削減と代替素材の提供による持続可能な社会の実現

アート・エンターテインメント

堆肥化して自然と一体になる「Chitofoam」を使ったインスタレーション

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© Charlotte Böhning