No.846
2024.05.20
太陽光をコントロールして活用する素材テクノロジー
SOLAMENT®
概要
「SOLAMENT®(ソラメント)」とは、太陽光をコントロールしエネルギーを活用する素材テクノロジー。太陽光に含まれる人の目に見えない近赤外線を吸収する特性を持ち、熱をコントロールして発熱・遮熱などを可能にする。従来の発熱・遮熱素材とは異なり、近赤外線を吸収して自ら熱に変換し、可視光は透過する高い透明性を持つ。薄い生地に塗布するとダウン並みの暖かさを可能にし、農業用ネットに用いれば、可視光だけを通して光合成を妨げずにハウス内を適温に保つ。アパレルや農業、建築・建材、モビリティ、医療、宇宙用品など、幅広い領域での展開が期待されている。
なにがすごいのか?
光を取り込んで暖かくしたり、逆に涼しくすることも可能
限りなく透明性が高い素材なため、カラーが自由自在
赤外線を利用したスイムウェア等の盗撮防止にも活用可能
なぜ生まれたのか?
住友金属鉱山が独自開発した「近赤外吸収微粒子:CWO®」がベースにある。CWO®は、効率よく近赤外線を吸収する透明性の高い無機材料。金属などから合成された粉体材料製品の1つで、見た目には青みを持つ。2002年に開発され、国内外で多数の特許を保有。これまで窓などの建材や農業、繊維製品などに活用されてきた。同社は2023年10月、独自素材である「CWO®」が持つ可能性を広く国内外に広めるため、太陽光をコントロールする素材テクノロジーとして「SOLAMENT®」にリブランドした。
なぜできるのか?
独自開発の「CWO®」
独自開発した、近赤外線だけを吸収し可視光を透過する「CWO®」を素材に用いている。「CWO®」は、光触媒などに使われる三酸化タングステン(WO3)を用いた導電性微粒子で、高い電子導電性があり、近赤外線吸収特性を持つ。電子量を増加させるなどの調製を行って、独自素材として構築した。
太陽光の近赤外線の活用
太陽光は、電磁波の波長が異なる、紫外線・可視光線・近赤外線・中赤外線のエネルギーによって構成されている。中でも波長780 nm~2500 nm(ナノメートル、1mmの1/100万)の近赤外線は、大きなエネルギーを持ち、発熱効果が高いため「熱線」とも呼ばれている。その近赤外線に着目し、太陽光の約40%近くを占める波長800 nm~1,200nmを強力に吸収して熱を遮断し、エネルギーを活用する素材を構築した。少ない添加量でも効率的に近赤外線の吸収が可能。また、金属などから合成された無機材料のため、熱や湿気、紫外線、薬品に強く、長期間機能を保持できる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・WO2016031969/2018020819/2018235839/2019054476/2019155999
・特許第4355945号/6607396号/6950691号/7226321号/7259769号/7353972号 etc.
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 住友金属鉱山 株式会社