No.691

2022.04.20

捨てられる食器からリサイクルされる肥料

BONEARTH(ボナース)

TOP-金柑

概要

「BONEARTH(ボナース)」とは、ボーンチャイナ(骨灰磁器)製の陶磁器をリサイクルしてつくることができる安全・清潔なリン酸肥料。これまで、肥料の三要素でもあり植物の栄養素として不可欠なリン酸は、その多くを海外からの輸入に頼り、輸入価格の高騰で肥料価格も上昇していた。そこで従来は産業廃棄物として処理されていたボーンチャイナ製陶磁器を「BONEARTH」としてリサイクルすることで、リン酸肥料として活用。高温焼成されているため臭いがなく、水に溶けないため長時間肥料効果が持続し、河川流出もしにくいため環境にもやさしい。リンの輸入・輸送や、食器の廃棄、埋め立てに伴う環境負荷も削減できることから、サステナブルなリサイクル肥料として活用が期待されている。

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実現事例 実現プロジェクト

Table Planter(テーブルプランター)

Table Planter(テーブルプランター)

「Table Planter(テーブルプランター)」は、 ニッコー株式会社とTakram Japan株式会社が共同開発する、サステナブルな社会の新しいライフスタイルを提案するプロダクト。ニッコーの真っ白なボーンチャイナ製陶磁器を用いて、クリエイターと共同開発した鉢や水差しなどのラインナップを揃えている。これら⽩く清潔でファインな質感の器「Table Planter」に植物をしつらえ、「BONEARTH(ボナース)」を化粧砂として使用することで、ダイニングテーブルやインテリアの中に新しい価値観を創出。同じ食卓(テーブル)の上では人も植物も同じ素材の道具を使い生活をする、という新しい感覚を提案する。

Table Planter(テーブルプランター)

なぜできるのか?

ボーンチャイナ製陶磁器に含まれる「リン酸三カルシウム」

「BONEARTH(ボナース)」のもととなるボーンチャイナ製陶磁器には、石や粘土に加え、食肉加工され残った牛の骨灰が使用されている。この牛の骨灰は成分としてリン酸三カルシウムを約50%含んでおり、これが肥料となって植物の成長を促す。

市販の液肥と同程度の効果

開発元のニッコー株式会社は、石川県立大学と共同で「BONEARTH」の肥料効果の検証を実施。その結果「BONEARTH」が肥料効果を持つことが判明し、農林水産省にも正式に認められ、肥料として登録された。また、植物が根から出すクエン酸と反応し、自らの力で養分を吸い上げるため、「BONEARTH」を鉢などに余分に入れすぎたとしても成長の妨げになることはなく、水に溶けない利点を生かし、特性を生かしながらそのまま肥料として長期間活用できる。

化粧砂として使用し清潔感を演出

「BONEARTH」は見た目が白く美しく清潔感があるため、肥料としてだけでなく、園芸用品の化粧砂としても活用できる。土を隠して清潔感を演出したり、鉢の表面から土埃が舞うのを防いだりといった活用が可能。

相性のいい産業分野

農業・林業・水産業

農業用肥料として活用し作物の育成を促進

生活・文化

園芸用の化粧砂として使用し鉢植えを美しく演出

資源・マテリアル

国内で「BONEARTH」を流通させ、リンの輸入・輸送にかかるCO2排出量やコストを削減

環境・エネルギー

「BONEARTH」で育てた野菜を食材として使う循環型社会の実現

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © ニッコー 株式会社