No.695
2022.04.22
循環経済を実現するための蒸留プラットフォーム
エシカル・スピリッツ
概要
「エシカル・スピリッツ」とは、日本酒造りの過程で廃棄されてきた酒粕を蒸留して次世代型のクラフトジンやウィスキーを生産する蒸留ベンチャー。酒粕を再蒸留したジンをリリースし、その利益の一部で酒米を生産し酒粕提供元に送り返すという世界初の循環型“エシカル・ジン・プロジェクト”となっている。従来、日本酒の醸造では使用される米の約30〜35%が酒粕となるが、産出量に見合うニーズがなくその多くが廃棄されていたが、エシカル・スピリッツ・米農家・全国の日本酒蔵の三者からなるサイクルでこれをリユース。経済的ロスを削減するとともに、酒造や米農家を交えた循環型経済を実現するプロジェクトとして期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
LAST(ラスト)
「LAST(ラスト)」は、“飲む香水”をテーマとしたエシカル・スピリッツ初のシリーズ。第一弾は350年以上の歴史を有する長野県の代表的な酒蔵の「真澄」の粕取り焼酎をベースに製造し、蒸留は創業150年以上の歴史を有する鳥取県・千代むすび酒造で行うなど、日本の豊かな酒蔵とコラボレーションを行い製造。またボタニカル成分には、ジンジャーとジュニパーベリーを土台に、レモンやシナモン、コリアンダーシードなどを使用。ジンらしいストレートで爽やかな香りの「EPISODE 0 -MODEST-」と、フローラルな中にスパイシーさも漂わせる香水のような「EPISODE 0 -ELEGANT-」の2種類が販売されている。
なぜできるのか?
循環サイクルの構築
エシカルスピリッツの目指す循環経済とは、エシカルスピリッツ・米農家・全国の日本酒蔵の三者からなる。まず、全国の日本酒蔵が日本酒を生産する際に発生する副産物である酒粕をエシカルスピリッツが購入し、酒粕をリユース・蒸留してジンやウィスキーを生産。次にエシカルスピリッツはそこで生まれた利益をもとに米農家から新米を購入、そして米農家はその新米を全国の酒蔵に納品することで、全国の酒蔵は再び日本酒を生産することができ、酒粕が生成されるというサイクルが可能となる。
酒粕が生み出す味わいのバリエーション
ジンの原料として用いられるニュートラル・スピリッツは、小麦や大麦、コーンなどの原料本来の風味が精製過程で失われる。しかし「エシカル・スピリッツ」では、酒粕本来の香りが残存。酒粕の香りも日本酒ごとに異なり、ボタニカル成分による香りづけも酒粕の香りをベースに行われるため、さまざまな組み合わせの香りを生み出せる。
ジンならではの「自由度の高さ」
一般的にジンは香料にジュニパーベリーが使用されるが、ベースとなる酒の制限はない。この自由さや編集性の高さにより、酒粕仕込みの自由な香りを持つ「エシカル・スピリッツ」を可能にした。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© エシカル・スピリッツ 株式会社