No.700

2022.04.26

狙った「変異」をピンポイントで起こす品種改良技術

欠失型ゲノム編集

欠失型ゲノム編集

概要

「欠失型ゲノム編集」とは、狙った遺伝子をピンポイントで欠失させることによって、品種改良を促すゲノム編集技術。膨大な時間を要する品種改良をわずか2年で生み出せる特徴がある。これまでの品種改良が突然変異などの偶然に頼りがちであったのに対して、自然界で起こりうる変化を確実に誘発する利点を持つ。水産物は、近年の漁獲量の減少などの問題の一方で、それを解決する品種改良の進展が遅れていた。欠失型ゲノム編集によって、こうした問題の解消を図るなど、水産業を中心とした分野での活用が期待される。

欠失型ゲノム編集

欠失型ゲノム編集

欠失型ゲノム編集

なぜできるのか?

生物多様性への悪影響を回避

欠失型ゲノム編集は、狙った遺伝子をピンポイントで切断し、ゲノム情報を編集する。遺伝子組み換えでは、生体に外来の遺伝子を導入して自然界にない新種を生み出してきた。しかし、欠失型ゲノム編集ではただ遺伝子を切るだけであり、本来自然界に生まれる可能性がある品種を誕生させる。そのため、遺伝子組換えで生まれた生物などの環境中での利用を制限する『カルタヘナ法』の対象外となっており、生物多様性に悪影響を与えるリスクが低い。

特定のゲノム操作による高い安全性

従来の品種改良では、ゲノム編集がどの遺伝子に影響を引き起こすか分からなかったのに対し、欠失型ゲノム編集ではピンポイントで特定のゲノムを狙うので偶然性に頼らずに済む。狙った遺伝子以外に変化が生じていないことも確認されており、高い安全性を誇る。

数十年かかる品種改良を2年で実現

多くの生物の品種改良が1万年といった長期にわたって行われてきたのに対し、水産物は50年程度と著しく遅れていた。また、これまで品種改良は突然変異で生まれた優良形質の個体を選び出すため、その形質が次世代に受け継がれるかは偶然に左右されるところが大きく、何世代も交配を重ねなければならないという難点もあった。これに対して、欠失型ゲノム編集は、狙った変異を確実に引き起こせるので1、2世代の交配で済み、2年程度で品種改良を実現できる。

相性のいい産業分野

教育・人材

欠失型ゲノム編集を実践する、倫理的で安全な遺伝子操作の実験授業

農業・林業・水産業

ニホンウナギやのどぐろなど高級魚の量産化と普及

アート・エンターテインメント

欠失型ゲノム編集で生まれた魚類のみを集めた水族館

食品・飲料

欠失型ゲノム編集で生まれた魚類のブランド魚化

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Unsplash

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