No.701
2022.04.27
3Dプリンターで製造するエコな家具
Up-Ring(アップリング)
概要
「Up-Ring(アップリング)」とは、3Dプリンターを使って、バイオマスポリエチレンを原料に生産するオフィス家具。これまでの家具生産は、複数個生産がスタンダードだった。一方で、3Dプリンターによる生産は金型が不要で必要な個数のみを生産できるため、生産準備段階での費用削減を図ることができ、製造時の無駄な材料消費、騒音、消費電力を抑え、1台でも生産が可能となる。今後は、使用者の個別のニーズを反映しながらも廉価な家具生産の実現に貢献することが期待される。
なぜできるのか?
経済的な家具生産を実現
Up-Ringは、3Dプリンターで生産するため、従来の家具生産で最初に準備する金型が不要。そのため、生産準備の時点で費用を削減できる。1台ごとの生産もできるため、必要最小限の材料や電力で済む。
サトウキビを原料としてCO2の吸収に貢献
Up-Ringの材料に使われるバイオポリエチレンの原料はサトウキビ。サトウキビは、その生育過程で二酸化炭素(CO2)を吸収、石油化学系ポリエチレンと比較してCO2発生量を70%削減できる。そのため、石油資源など枯渇性資源の使用を控えて温室効果ガスの排出抑制効果が期待できる。サトウキビは再生利用もでき、可食部ではない部分を使うことで食料としての需要を妨げることもない。
エコロジカルでポータブルな生産手法
Up-Ringでの家具生産に必要な道具は3Dプリンターが中心。これまでの家具生産のように加工機の工程がなく、製造時の消費電力が少なくて済むのが利点。また、3Dプリンターだけであれば、こうした道具に比べて狭いスペースだけで済む。そのため納品先に近い場所で、小スペースでも生産することが可能になる。これにより、輸送経路を短縮して物流で生じるCO2排出量の削減にもつながる。
背中や膝の安定性を確保する新たな形状
現在リリースされているチェアは、バランスボールのように座っている人が自ら重心を移動させて姿勢を変化させられる形。一方で、姿勢を動かしても背中や膝が常に安定するよう設計され、3Dプリンターによる一体成形での自由な形状を実現している。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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