No.741

2022.06.28

誰でも自由に編集・共有できる世界地図プロジェクト

OpenStreetMap(オープンストリートマップ)

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概要

「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)」とは、オープンデータとして活用可能な二次元の地図を作成する世界規模の共同プロジェクト。作成された地図は誰でも自由にダウンロードできるほか、アカウントを作成することで誰でも簡単に地図を編集できる。一般的に企業や国家が作成する地図は、その大半が著作権の関係から、業務利用目的での無断転載や複製が禁じられている。一方、「OpenStreetMap」の場合、OpenStreetMapと協力者を著作権表示すれば無料で使用でき、データを自由に活用できる。制約に縛られることなく、協力者コミュニティの制作した精度の高い地図を使用できることから、さまざまな分野で活用が広がっている。

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なぜできるのか?

自由度の高い編集

「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)」の編集は、手持ちのGPS端末を利用してサーバーに軌跡や地点データをアップロードしたり、ログをもとに地図を描いたり、衛星写真をトレースして地図を描いたりと、さまざまな方法で行える。

豊富なタグ情報

編集者は、空間上の位置情報を定義する「ノード」、道路や境界線を定義する「ウェイ」、ノードやウェイ同士の関係性を示す「リレーション」の3つの要素からデータモデルを作成。これらに加え、地物(地図上の表示)の属性を表現できる「タグ」を入力することで、豊富な情報を追加できる。

集合知が実現する精度の高さ

「OpenStreetMap」には、世界各国の数百万人を超えるユーザーが参加。不正確な情報や不明瞭な地図情報もボランティア同士で自由に加筆・修正できるため、高精度な地図が作成できる。

タイムリーな情報を表示

企業や自治体が発行する地図の場合、新しく設置された道路や施設が地図に反映されるまで時間がかかることがある。一方、「OpenStreetMap」は、ユーザーが自由に編集・更新できるため、新しい道路や施設も即座に反映できる。

ニーズに合わせたダウンロード方法

地図データのダウンロードには、マップ上から範囲を指定してダウンロードする方法、「Planet OSM」というサイトから地域別に分割したデータ配布サイトから国・地方単位でダウンロードする方法、プログラム内でデータの種類や範囲を指定し自動でダウンロードする方法の3種類があり、ニーズに合わせて選択できる。

相性のいい産業分野

メディア・コミュニケーション

「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)」の地図を広告で商用利用

旅行・観光

「OpenStreetMap」の地図を使用したガイドブック

官公庁・自治体

「OpenStreetMap」をもとにハザードマップを作成・公開

生活・文化

地図データをダウンロードし、残しておくことで時代ごとの地図を閲覧

航空・宇宙

ドローンの安全航行を実現するオープンデータの「空の地図」

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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