No.780

2023.02.22

人生の成長機会を10倍に拡張するデジタルツイン

Another Me(アナザー ミー)

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概要

「Another Me」とは、実在する⼈間と同じ知性や⼈格など“内面”をデジタルツインコンピューティングで再現し、社会の中で自律的に活動させる技術。メタバース空間など、現実世界の制約を超越した場所でアバターが本人として別空間・別時間軸で並行して活動し、その結果を本人自身の経験としてフィードバックする。「人のように思考し自律的に行動が可能なこと」「本人らしい個人性を持つこと」「Another Meが得た経験をフィードバックできること」の3つを技術の軸とすることで、人生において活躍・成長する機会を10倍に拡張してくれる、新たなパートナーとなることが期待されている。

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なにがすごいのか?

  • 外見から内面まで、ユーザー自身の“その人らしさ”を精巧に再現

  • ユーザーの分身として自律的に思考・行動することが可能

  • Another Meで経験したことをユーザーへ効率的にフィードバック

なぜ生まれたのか?

育児や介護と仕事の両立が困難となる状況や、関心や意欲があっても社会参加できないなど、人生におけるさまざまな機会の損失が社会課題となっている。人々の活動範囲が現実世界から仮想世界へと拡大・融合する中、「デジタルのもう1人の自分」をつくり出すことが人の成長する機会を飛躍的に増加させるのではという仮説のもと、「Another Me」は構想された。NTTの「IOWN構想」による、リアル世界とサイバー世界の体験をシームレスに連携可能にする新たなコミュニケーション基盤の研究開発・社会実装のプロジェクトの一部である。

なぜできるのか?

思考と行動を形づくる「個人性抽出技術」

個人の行動ログから、行動に影響を与える性格・価値観・趣味などの情報を埋め込んだベクトルを学習。これにより、その人らしく疑問を生成したり、個人の思考や行動パターンを再現した対話生成などが可能となる。例えば、価値観の類似度を比較して、価値観の近い人同士を見つけたり、多様な価値観を持つグループをつくったりすることができる。

“その人らしさ”を再現する「身体モーション生成技術」

実在する人物と同じ人格を感じられるためには、見た目はもちろんのこと、音声、発話、身体モーションがその人物らしくあることが重要である。Another Meでは日本語の発話音声情報に基づき、発話時の実在する人物らしい身体モーションを自動生成する技術を新たに開発。実在する人物の映像データを用意するだけで、自動でその人物らしい身体モーションを生成する。この生成モデルを利用することで、発話音声情報を入力するだけで、その人らしい発話時の動作を自動で生成することができる。

効率的なフィードバックを可能にする「対話映像要約技術」

録画した対話を実際より短い時間に要約し、内容だけでなくその場の雰囲気まで伝える映像を生成する「対話映像要約技術」を採用。 これにより、Another Meの経験を正しくユーザーにフィードバックできる。本技術の最初のステップとして「会議の効率的な振り返りのための対話状況推定・映像要約技術」を開発。会議での音声や振る舞いといったマルチモーダル情報をもとに発言ごとの説得力や意図を推定する「対話状況推定技術」と、会議の映像を実時間の4分の1程度の短い映像に再構成する「映像要約技術」により、議事録では伝わりきらない会議中の様子や雰囲気の効率的な把握を可能にした。

キャラクター性を持たせる「個人性再現対話技術」

発言内容に一貫したキャラクター性を持たせることを可能とする技術。指定したプロフィールや趣味などに応じた発言が可能な対話AIを実現する。本人の特性に基づき自律的に行動する人のデジタルツインを実現するための要素技術となる。

相性のいい産業分野

生活・文化

複数の「Another Me」を自律的に行動させることで、同じ時間軸で別々の人生を体験

教育・人材

「Another Me」を有効活用した就職活動と高度人材マッチング

メディア・コミュニケーション

「Anotehr Me」を複数のDAOに参加させることで出会いや仕事の幅を拡張

医療・福祉

医師や看護師の「Another Me」を作成し医療現場の人手不足を改善

アート・エンターテインメント

「Another Me」がメタバース上のクリエイターとして“自分らしい”作品を大量に生産しNFT化

官公庁・自治体

移住を検討する際に「Another Me」を地域のデジタルツイン空間で居住させて仮体験

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © NTT