No.781
2023.03.08
心拍・呼吸・機械の微細振動を高精度検知
非接触インテリジェントミリ波センシングシステム
概要
「非接触インテリジェントミリ波センシングシステム」とは、人間の心拍や呼吸、機械の振動などによる微細な振動を高精度に検知できる技術。低ノイズのミリ波センサにより、マイクロメートル単位の微細な振動を非接触で検知・抽出することができる。日々のヘルスケアや効率的な見守りシステム、工場内の機械の異常を検知するIoTセンシングシステムの構築など、幅広い用途への応用が可能。人々の健康管理や、さまざまな労働現場での省人化という社会課題の解決に貢献することが期待されている。
なにがすごいのか?
非接触で人や機械の微細な振動を検出可能
高精度に呼吸や心拍の測定を実現
用途に応じた機能拡張が可能
なぜ生まれたのか?
コロナ禍における外出自粛やコミュニケーション不足から、日々の健康管理やヘルスケアに注目が集まっている。世界では非接触で気軽に日々の健康状態をセンシングできるシステムを用いた、健康と幸福を追求したソリューションが求められている。また、日本では少子高齢化や人口減少などによる労働力不足が大きな課題になっており、非接触で人々、特に高齢者の見守りや、工場での効率的な機器メンテナンスなど、日常や産業など、さまざまな分野での効率化や省人化を可能とするスマートなセンシングシステムも求められている。このような課題解決に貢献するため、京セラは独自の技術を集約した「非接触インテリジェントミリ波センシングシステム」を開発した。
なぜできるのか?
非接触で微細振動の検出が可能
従来の人の心拍や呼吸などをセンシングするシステムの多くは接触型であるため、機器装着の煩わしさや計測場所に制限があった。一方で、非接触のミリ波センサで微細な振動を正確に検知するためには、センサ全体の低ノイズ化等が課題となっていた。京セラでは独自の材料技術と信号処理技術を結集し、これらの課題を解決。同じく非接触型で信頼性の高い高精度な光学センサ(Laser Doppler Vibrometer)との比較においても、高い精度で振動を検知できていることが可能となった。
高精度な心拍間隔のセンシングを実現
心拍に伴う胸部振動を高精度に抽出することにより、正確な心拍変動の計測が可能。平均的誤差として、心拍間隔 (HF帯域含め) は誤差±10ms以内、心拍変動スペクトルは誤差±10%以下を実現。(京セラ先進技術研究所の実験による) 日々のヘルスケア測定のほか、感情分析・自律神経分析などへの応用展開も可能となっている。
機能拡張の可能性
本システムの高精度な振動検知能力は、人の心拍や呼吸の検知・抽出だけでなく、動作検知(モーション検知)、および工場内の機械や建造物振動なども検知・抽出可能。京セラでは、ミリ波センサのデータを分析、活用するためのAI技術の研究開発も進めており、各種のソフトウエアモジュールとの組み合わせ(アドオン)により、多種多様な用途へのソリューション提供を目指している。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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Top Image : © KYOCERA Corporation