No.792

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2023.04.28

身体の健康状態とアバターの性能が連動するシステム

デジタルツインアバターのコンディション連携

デジタルツインアバターのコンディション調整

概要

「デジタルツインアバターのコンディション連携」とは、現実世界の身体の健康状態に応じて、アバターの性能が高まったり制限されるシステム。血圧や心拍数、睡眠スコアなどの生体情報から健康状態を判定し、基準を満たしていればゲーム内のアバターのパフォーマンスが高まる。ゲームでレベルを上げるために睡眠を削って体を酷使する従来のプレイスタイルの解消や、ゲーム依存症への対応策として、フィジカルな健康を軸にしたゲームシステムが発明された。ユーザーのコンディションデータに応じた健康アドバイスも可能で、官公庁や自治体と連携した生活環境整備への活用など、デジタルツインを用いた社会構築への貢献が期待されている。

なにがすごいのか?

  • デジタルツインによる自分の健康状態とアバターとの連動

  • 健康であることがゲームのパフォーマンスを上げる

  • 推定された健康状態にもとづき、健康アドバイスが受けられる

なぜ生まれたのか?

カプコンが保有している特許技術(特許番号:第7206516号)をもとに、同社と知財図鑑が「妄想大喜利」を実施。社会課題と妄想からアイデアを拡張し、フィジカル空間のデータをデジタル空間で再現する「デジタルツイン」のアイデアを用いて発明した。これまで、ゲーム内のパフォーマンスを上げるために、長時間寝ずにプレイして健康を害するユーザーが存在したり、過度にのめり込んでゲーム依存になるケースも出ていた。そうした課題を受けて、ユーザーの健康やQOL(Quality of life:生活の質)を上げるゲームが必要という考えから「デジタルツインアバターのコンディション調整」を発明した。システムを通じて、ユーザーの健康意識が高まり健康習慣が身に付くことで、生活習慣病の予防や、社会全体の医療費削減にも寄与すると見込まれている。

妄想プロジェクト 妄想プロジェクト

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ゲームで健康になる「デジタルツイン・ヘルスマネジメント」

持続可能な社会の実現には、社会を支える人間も、パフォーマンスを出し続けられる生き方が必要となる。身体・心・社会との関りなど、全てにおいて自分をより良く活かす、ウェルビーイングな生き方が求められる。
「デジタルツイン・ヘルスマネジメント」は、ゲームユーザーに対し、ウェルビーイングなライフスタイルを提供する。ユーザーが健康な場合は、アバターのパフォーマンスが上がり、ゲームを有利に進められる。体調不良の場合は、アバターの性能が低下したり、ゲームイベントへの参加権がはく奪される。アバターを通じて健康状態を客観視できるだけでなく、ゲーム進行を左右するため、健康的な生活を送ろうというユーザーのモチベーションを高める。それにより、健康維持をサポートし、QOLの向上にも寄与する。学校教材や脳トレツールなどと連携することで、若年層や高齢者など広い範囲で人の健康を管理する社会インフラになるかもしれない。

知財図鑑

妄想家 知財図鑑

株式会社カプコン 知的財産部

妄想家 株式会社カプコン 知的財産部

妄想家 知財図鑑株式会社カプコン 知的財産部

なぜできるのか?

フィジカルデータとアバターをつなぐ情報処理システム

ウェアラブル端末やゲーム機などのデバイスを通じてユーザーの生体情報を取得する。睡眠の質や量を定量化した睡眠スコアや、血圧、脈拍、心拍数、血中酸素濃度、体温など、さらに取得範囲を広げることも可能。フィジカルデータはゲーム提供者のシステムでユーザーアカウントと紐づけられて管理され、継続的に更新される。取得したフィジカルデータからユーザーの健康状態を推定し、基準を満たした場合はアバターの性能を上げる。健康状態が悪化していると推定された場合は、ゲームプレイをストップさせるなどの制限をかけられる。

健康状態に応じたアバターへの多様なフィードバック

ユーザーの健康状態が良好な場合はアバターのレベルや、攻撃力・防御力、スキルなどが上がったり、アイテムやバトルイベントへの参加権が得られるなどのフィードバックがある。イベントでのシード参加や通常参加、観覧など立ち位置も変えられる。睡眠不足や発熱があるなど、ユーザーが不健康な状態の場合はアバターの動作が遅くなったり、毒・麻痺などに侵されたりと異常が生じる。健康状態が特に芳しくないと推定されるユーザーに対しては、イベントへの参加を認めない、ゲームプレイを停止するなどの制限もかけられる。

コンディションデータを用いた健康支援

ユーザーの健康状態を推定したコンディションデータを、個人を特定しない形で外部に提供し、得たアドバイスをゲーム画面に表示させるなど、直接ユーザーに注意喚起できる仕組みがある。特に健康状態が芳しくないと判定されたユーザー情報は、住所や氏名なども含めて自治体の生活支援課などに提供し、生活支援につなげるなどの活用も可能。また企業や学校と連携して健康管理やマネジメントにも活用できると見込まれている。

既存特許技術のアイデア拡張

開発アイデアのベースには、カプコンが保有するゲームプログラムおよびゲーム装置の技術(特許番号:第7206516号)がある。同技術では、ユーザーの就寝・起床時刻などの睡眠情報を取得し、基準時刻より早いか遅いかなどで睡眠パターンを判定。睡眠パターンとゲームキャラクタを紐づけ、ユーザーが該当の睡眠パターンだった場合、キャラクタの性能が高まったり特典が得られる。「デジタルツインアバターのコンディション調整」では、ユーザーから取得するデータの範囲を拡げて生体情報とし、健康状態とアバターをつないだゲームシステムを構築している。

相性のいい産業分野

アート・エンターテインメント
  • 体調や生活リズムを整えるミッションをクリアするとステージが進むゲームの開発

  • 体調良好・不良時にアバターが身に着ける衣装やアイテムの提供

医療・福祉

定期的に健康診断や歯科検診を受けるとアバターが強化する仕組みの構築

教育・人材

子どもが規則的に一定時間睡眠を取ると特典が得られる学習ツールの開発

官公庁・自治体

市民の健康状態を把握し生活環境の整備や街づくりに活用

IT・通信

睡眠の質や睡眠時間の長さでインセンティブが貰える「睡眠 to Earn」の開発

この知財の情報・出典

特許出願番号:2023-034310

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : Getty Images