No.937

2024.11.12

カプセルベッドで睡眠データを解析するサービス

9h sleep fitscan

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概要

「9h sleep fitscan(ナインアワーズ スリープ フィットスキャン)」とは、カプセルベッド内で睡眠状態を測定・分析するサービス。360度身体を囲むカプセルユニットにカメラやセンサーを搭載し、睡眠中の体動・呼吸・心拍などを測定して、睡眠の質や状態を解析する。独自のソフトウェアを構築して睡眠データを解析。分析レポートの提供や病院とのデータ連携などを行い、気軽に健康状態を可視化・サポートするサービスとして展開している。収集した睡眠ビッグデータは、マーケティング・商品開発での活用に加え、睡眠障害が関わる疾病メカニズム・治療の研究を後押しすると期待されている。

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なぜできるのか?

カプセル形状を活かした仕組み構築

360度身体を包み込む、日本発祥のカプセルユニットの形状に着目。その特徴を活かして、ユニット内に体動センサー・集音マイク・赤外線カメラなどを設置し、身体の動き・呼吸・いびき音・寝顔画像といった宿泊中の睡眠データを測定する仕組みを構築した。睡眠中の器具の装着などが不要で、カプセルベッドで寝るだけで利用できる。測定は利用者の同意のもと実施。AIを用いた独自のソフトウェアで睡眠データを解析し、分析レポートとして利用者に提供している。2021年12月のサービス開始以来注目を集め、24年5月時点で利用者は10万人を超えている。

拡張性を持つ睡眠解析事業の展開

睡眠時間・寝返り・いびきの可視化から開始し、継続的にサービスをアップデートしている。例えば睡眠時間では、入眠時間や中途の覚醒回数、睡眠効率、深い眠りについた時間など、細かく定量化が可能。そのほか、無呼吸状態の回数を含む呼吸データ、心拍データ、不眠症・うつ病・不整脈・心筋梗塞といった疾病リスクも解析できる。また、解析データをもとに疾病リスクがある人を病院につなぐ「睡眠検診サービス」を展開している。カプセルも進化させており、入口部分をハッチ型にして静音性を高めた新型カプセル「9h sleep dock」を、ヤマハ発動機と共同開発。個別空調も導入し「個別温湿度管理」や「クリーン換気」を可能にして、睡眠環境の最適化を図っている。

カプセルホテルの事業基盤

「1h〈汗を洗い流す〉+7h〈眠る〉+1h〈身支度する〉=9h」をコンセプトとしたカプセルホテル事業がベースにある。従来型のカプセルホテルを全面的に見直し、都市生活にマッチした新しい滞在価値を提供する宿泊施設として2009年に開業。眠り・シャワー・ラウンジ空間を軸に機能性を高めた施設を提供している。東京を中心に日本各地で13店舗を展開し、5店舗で睡眠解析サービスを実施。2024年8月にはNTTデータとの共同事業で、男性専用の「ナインアワーズ品川駅スリープラボ Powered by NTT DATA」を開業した。同施設では、カプセルユニット全室に「9h sleep fitscan」を実装。さらに脳波センサーや深部体温センサーなどの活用も予定している。

相性のいい産業分野

生活・文化

睡眠解析データにもとづくパーソナライズヘルスケアサービスの展開

IT・通信

食生活や運動習慣などを管理する健康アプリと連携したトータルサービスの提供

医療・福祉

睡眠状態を測る医療機器の1つとして国内外の病院に展開

スポーツ

プレイヤーの睡眠と身体を整える機器として活用

製造業・メーカー

住宅や宿泊施設に単体で設置できるカプセル形状ベッドの開発

AI

蓄積された睡眠データから将来の健康状態を予測するAIの開発

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 ナインアワーズ