No.992
2024.12.12
患者の代わりにがんの薬剤検査を行える腫瘍アバターの培養技術
CancerFree Biotech
概要
「CancerFree Bio」とは、患者の腫瘍細胞を採取し、専用の腫瘍アバターを培養することで、患者自身で薬剤を試すことなく、腫瘍アバターを用いて最適な治療薬をスクリーニングできる新たな技術。薬物療法では、患者ごとのがんの性質に応じて最適な薬を選択する必要がある。「CancerFree Bio」は、患者の20mLの血液サンプルのみで腫瘍アバターを培養できるため、患者の負担を最小限に抑え、治療効果を予測して非効率な治療を回避する手助けができる。特に希少がんや、標準治療や臨床治療のガイドラインが確立されていないがんに対しても、最適な薬剤を見つけるための有望な手段として期待されている。
なにがすごいのか?
・患者一人一人に最適化された薬剤の選定を体外で行える
・患者負担が採血のみで、高齢者や組織サンプルの採取が困難な患者にも適する
・100種類以上のがんに対して、約90%の成功率で培養可能
・100種類のジェネリック医薬品のテストが可能
なぜできるのか?
CTCを活用することで、採血のみでがんの性質を検査可能に
がんの性質を調べるために、固形腫瘍のサンプルを接種することは、身体の部位によっては非常に難しく、患者の負担が大きかった。そこで活用されたのが、血中循環腫瘍細胞(CTC/Circulating Tumor Cells)。CTCとは、ある程度の大きさになった固形がんが栄養や酸素を求めて、血液循環系やリンパ系内に排出する腫瘍細胞である。血液中に循環するCTCは、白血球や赤血球、血小板の量に比べて少なく、検出することが難しいとされていた。しかし、AI画像認識技術を組み合わせた高度な技術によって分離・同定・培養化まで行き着いた。
採血から患者の体外でCTCを培養する独自技術
CTCを体外で増殖するために用いられたのが、独自開発された生体模倣細胞培養システム「eSelect」。静脈血のサンプルを採取、PBMC(末梢血から分離された単球やリンパ球を含む単核細胞)をFicoll-Paqueを用いた分離法で調整し、CTCを含むPBMCを生体模倣気質であるBinary colloidal 5crystal(BCC)に供して培養する。この方法で、生体外で生体内と同じ環境下で腫瘍アバターを増殖させることに成功。4週間で1,000〜100,000倍増殖させる高効率を実現。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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Top Image:©︎ CancerFree Biotech(精拓生技)
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