No.936
2024.11.12
水を貯められて保冷・防湿性も持つ高性能ダンボール箱
CARTON 2.0
概要
「CARTON (カートン)2.0」とは、水も容れられる耐水性と、保冷性・防湿性を持つ高性能ダンボール箱。ダンボール原紙に特殊なフィルムをラミネートし、1枚のダンボールを折り込む構造で、水も貯められるボックスを実現している。主に水産品や冷蔵品を運ぶために使われていたダンボール材を用いて、書類・衣服や掃除用具の保管箱、クーラーボックスなど、様々な用途で日常的に活用できるダンボール箱に進化させた。高い機能性で日々の暮らしを支えるとともに、ダンボールの活用可能性を拡げると期待されている。
なぜできるのか?
機能性ダンボール「クールダン」の活用
「CARTON 2.0」は、発泡スチロールの代替品として開発されたアイザック製ダンボール「クールダン」を材料に用いている。強度や耐熱性に優れたPETフィルムに、アルミニウムの薄い膜を付着させた「PETアルミ蒸着フィルム」でダンボール原紙をラミネート。フィルムの特性とダンボール紙内部の空気層を活かして、耐水・保冷・防湿性能を持たせている。通常のダンボールよりも高い防臭性能もある。ハイスペックな仕様ながら、可燃ごみとして処分でき、焼却時にダイオキシンが発生しない。
接着・隙間のない構造と使いやすいデザイン
ダンボール箱の本体とフタは、それぞれ1枚のダンボールを折り込んで組み立てる仕様で、接着箇所や隙間をなくして、水を容れても漏れない構造を実現している。また、本体の上部には深めの折り返しを設けているため、持ち手の穴がなくても簡単に箱を持ち運べる。ダンボールらしくないデザインにもこだわっており、シルバーの鏡面に、紙の目方向をアクセントにしたシンプルな外装で、多様な用途での活用を可能にしている。
パッケージ技術とデザインの掛け合わせ
1980年に日本で初めて機能性ダンボールを開発し、パッケージ事業を手がけてきたアイザックと、生活・仕事の双方に刺激や発見をもたらすコクヨ直営のショップ&カフェ「THINK OF THINGS(シンク オブ シングス)」が、協同で生み出した。「THINK OF THINGS」のプロデュースは、コクヨ社内のインハウス・デザインコレクティヴで、空間・プロダクト・グラフィックなどの多様な専門領域を持つクリエイターが在籍する「YOHAK DESIGN STUDIO(ヨハク デザイン スタジオ)」が担当。技術とデザイン・企画力を掛け合わせ、業務用途で構築されたダンボール材から、暮らしを豊かにするプロダクトを開発した。「CARTON 2.0」は、ダンボールの「用途や可能性を拡張する」と評価され、2022年にグッドデザイン賞を受賞している。
相性のいい産業分野
- 生活・文化
ワークルームの書類や備品、衣類などの収納ボックス
- 食品・飲料
気温に関わらず食品を安全・壊さず運ぶ保冷箱
- 旅行・観光
キャンプ地や電源が取れない屋内外の施設で飲食物の保管に利用
- アート・エンターテインメント
魚や亀、植物の展示や金魚すくいなどの祭りイベントに活用
- 製造業・メーカー
食品の保冷や給水ができ、手軽に運べる防災グッズの開発
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © コクヨ 株式会社