No.986
2024.12.12
サボテンから生まれたヴィーガンレザー
Desserto(デセルト)
概要
「Desserto(デセルト)」とは、サボテンを繊維に含んだサステナブルなヴィーガンレザー。本革に近い滑らかで柔らかな質感ながら、動物レザーや人工皮革よりも低い環境負荷で製造できる。また、原料となるサボテンは自然の雨水だけで栽培できるため、製造に必要な水やエネルギーの節約も実現。ハンドバッグやシューズといったアパレル製品への活用が期待される。
なぜできるのか?
環境負荷が低いヴィーガンレザー
動物レザーは、製造段階で大量の水や化学薬品が用いられることから、環境への影響が課題となってきた。一方、ヴィーガンレザーは、、製造時に化学薬品の使用量が削減でき、水質の保護に貢献できるほか、畜産による温室効果ガスの排出低減にも貢献できる。
少量の水で生育できる「CAM型光合成」
サボテンは、二酸化炭素の取り込みを夜間に行うことで、気孔からの水分の蒸散を抑制する「CAM型光合成」を行っている。そのため、少量の水があれば育てられ、生育に必要な水資源を削減できる。
サボテン由来の優れた耐久性
一般的に、ヴィーガンレザーは、植物の繊維と樹脂を混ぜて製造するため、動物性レザーに比べ耐久性が劣るとされている。一方、「Desserto」は、貧しい土壌や干ばつといった過酷な環境下でも生育できる耐久性を有するため、長期間にわたって使用が可能。適切な環境下では10年間使用可能とされている。
植物由来の優れた通気性と撥水性
一般的に、動物性レザーは、水に弱く、濡れると腐食やひび割れを引き起こす。一方、「Desserto」の場合、植物繊維を使用しており、通気性に優れているため、影響なく使用可能。撥水性も高いため、表面が濡れても拭き取れば問題なく使用できる。
天然由来成分のみを使った製造
「Desserto」は、成熟したサボテンの葉を原料にしているほか、すべての工程で天然由来成分しか使用せず製造を行っているため、ゴミとなっても生分解が可能。さらに、有毒な化学物質であるフタル酸エステルやポリ塩化ビニルも使用していないため、安心して使用できる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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