No.922

2024.10.07

超リアル・縦横無尽に動く恐竜ライブショープロジェクト

DINO-A-LIVE

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概要

「DINO-A-LIVE(ディノアライブ)」とは、超リアルで縦横無尽に動く恐竜を体験できるライブショープロジェクト。動きや外観をリアルに再現する独自開発の恐竜型メカニカルスーツで、オリジナルのパフォーマンスを行い、生きた恐竜に遭遇したようなライブ体験を提供する。リアルさにこだわり、最新の恐竜学説などを取り入れて、独自の構造・操作機構を持つスーツを開発。人間が内部で操作する仕組みを構築し、生き物としてのリアルな動きも追求した。屋内外のショーやイベント、恐竜テーマパークなど、エンターテインメント領域を中心に、国内外での幅広い展開が期待されている。

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なぜ生まれたのか?

博物館や美術館などの展示造形・壁画製作などを手がけていたON-ART社が生み出した。バルーンとエアブラシによる描画で立体物をより立体的に見せる「リアルバルーン」の手法を用いた恐竜の開発を経て、2005年より「歩く恐竜」の開発を開始。第1号のアロサウルスは、2007年の恐竜博で公開した。

恐竜型メカニカルスーツの技術は高く評価され、東京都ベンチャー技術大賞特別賞(2009年)、第4回ものづくり日本大賞優秀賞(経済産業省関東経済産業局管内、2012年)など、複数の賞を受賞。日本を含む世界14カ国で特許を取得している。

同スーツを用いた「DINO-A-LIVE」は、2011年より開始。オリジナルの演出でショーを制作し、国内外で体験型ライブを展開している。2023年には、東京国立博物館の企画展で、DINO-A-LIVEの恐竜が「150年後の国宝候補」と認定。2024年9月には同博物館とのコラボで、本館周辺に約20頭の恐竜が登場してパレードする夜間イベントを開催した。

なぜできるのか?

恐竜型メカニカルスーツの独自開発

恐竜型メカニカルスーツ「DINO-TECHNE(ディノテクニ)」を独自に開発した。恐竜学説や専門家の研究をもとに、骨格・身体構造を徹底的に調査。首の動きはどうなっているか、どこの関節が動いているかなど、リアルさにつながる要素も取り入れた。製作・テスト・壊れるまでを1サイクルとしてプロトタイピングを繰り返し、試行錯誤を重ねて開発。恐竜の巨大さ・重厚さを再現しながら重さを抑え、人間が内部に入って操作できるスーツを構築した。内部には、顔周り・胴体・尻尾など複数の動作を制御する機構や、外部を認識できる小型カメラ、通信機構などを搭載し、俊敏で複雑な動きを可能にしている。ティラノサウルスなどの2足歩行(1人で操作)と、ステゴサウルスなどの4足歩行(2人で操作)のスーツを構築。継続的に改良しながらラインナップを増やしており、誕生した恐竜は2024年時点で30頭を超える。

オリジナルライブショーの制作

完全オリジナルでライブショーを展開している。東京藝術大学出身のメンバーが立ち上げたON-ART社が、原作・シナリオ・台本・楽曲・演出・美術などを独自に制作。エデュケーションとエンターテインメントを融合させた演目と位置づけ、学びながら楽しめる恐竜遭遇体験を提供する。ショーを盛り上げる音も、音楽に精通する同社メンバーが制作した。ライオン・トラ・ゾウといった動物の鳴き声など、複数種類のサンプリング音を合成・加工して「恐竜の音」を表現。動きとリアルタイムにシンクロさせてリアルさを提供する。また、恐竜の操作を担うパイロットを独自に育成し、動作のクオリティも確保している。

相性のいい産業分野

メディア・コミュニケーション

恐竜との遭遇体験ができるライブ・イベント・展示などの企画

アート・エンターテインメント

恐竜が暮らしていた時代のバーチャル空間と組み合わせて没入体験を提供

旅行・観光

テーマパークのキャストや土地・自然を活かしたナイトサファリなどに活用

官公庁・自治体

特定地域で発見された恐竜の再現で町おこし・地域活性化を促進

教育・人材

動く恐竜を体験する中で生態などを学ぶ教育プログラムの開発

この知財の情報・出典

・特許第4295297号/第4809495号/第5039234号

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © ON-ART