No.861
2024.06.10
蒸留酒・ワインの流通を“eco”にする再利用可能な容器
ecoTOTE
概要
「ecoTOTE」とは、蒸留酒とワインの低炭素・低廃棄物流通を実現する再利用可能な容器。容量4.5ℓのガラス瓶と外部衝撃から瓶を保護するハウジングで構成されており、最大150回再利用できる。蒸留酒・ワインの使い捨てガラス瓶を無くすことを目指して構築した、クローズドループシステムの流通の軸として開発された。製品寿命内では最大1,000本のガラス瓶を削減できるため、製造・運搬時のCO2排出やガラス廃棄を減らして、環境負荷を低減する。世界のアルコール市場へ導入を進める中で、食品などの他業界へも波及効果をもたらし、環境にやさしい循環システムの構築・定着化を促すと期待される。
なにがすごいのか?
蒸留酒・ワインの使い捨てガラス瓶に着目し再利用可能な容器を開発
「ecoTOTE」1個で最大1,000本のガラス瓶を削減
使い捨てガラス瓶を無くすためのクローズドループシステムを構築
なぜ生まれたのか?
2018年にシンガポールで設立したecoSPIRITSは、蒸留酒とワイン業界の使い捨てガラスを再利用可能な循環型のパッケージに移行し、ガラス廃棄を無くすことを目指している。蒸留酒・ワイン業界では、アルコール飲料の包装にガラス瓶を多用しているが、ガラス瓶は特に輸送時に多くのCO2を排出する。またガラス廃棄時には、依然として埋め立て処分する国も存在する。熱処理する場合でも、プラスチックなどと比較して高温処理が必要となり、環境負荷が高い。
そこでecoSPIRITSは、蒸留酒とワインのサプライチェーンにおける使い捨てガラス瓶を無くす、クローズドループシステムを構築。再利用可能な流通用の容器として「ecoTOTE」を開発した。
実現事例 実現プロジェクト
Diageoとの連携による世界展開
「Diageo(ディアジオ)との連携による世界展開」は、英国大手アルコール飲料企業のDiageoとecoSPIRITSの提携によるもの。両社は現地時間2023年11月29日、グローバル契約を締結。今後3年間で、ecoSPIRITSのシステムを世界18の市場に展開する。市場展開は、2024年から開始予定。対象商品は、Diageoの「ゴードンズ・ジン」「キャプテン・モルガン・ラム」「スミノフ・ウォッカ」。70clのガラス瓶に換算して、使用6回目以降で二酸化炭素排出量の削減が図れると見込んでいる。
なぜできるのか?
世界各国での運用実績にもとづく容器設計
飲料を充填する器には、蒸留酒でも溶解しにくいガラス瓶を採用している。瓶の周囲・底部には、外部衝撃から保護するハウジングとして、衝撃吸収材を付けたプラスチックの四角い筐体を設置。運搬しやすいよう、筐体上部にハンドルを設けている。また上蓋を開けなくても残量確認できるよう、筐体に目盛りを付けている。ecoSPIRITS は創業以来、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど23カ国以上で、約2,000以上のバーやレストラン、ホテルなどへ「ecoTOTE」を展開してきた。運用の中で容器を改善し続け、2020年9月には第3世代の「ecoTOTE 3.0」を開発。実運用に応じた容器を提供している。
クローズドループシステムの構築
「ecoTOTE」を軸に、低炭素・低廃棄物の流通を実現するクローズドループシステムを構築。容器への蒸留酒の充填や洗浄・消毒を行う半自動蒸留酒処理コンテナの「ecoPLANT」や、容器からカクテルシェーカーやグラスに酒を注ぐ「SmartPour」などを開発している。また、「ecoTOTE」の運搬状況や位置情報を確認できるクラウド型の追跡サービスも提供。運用改善やセキュリティ強化が図れるサービスとして展開している。
循環ごとに植樹する森林プログラム
ecoTOTEが循環するごとに木を1本植える「The ecoSPIRITS Forest Program」を実施。低炭素・低廃棄物の流通に加えて、植林によるCO2削減が図れる仕組みを構築している。プログラムは、環境テクノロジー企業のGreen Steps Groupと連携して2020年5月から開始。当初はインドネシアのボルネオ島で絶滅の危機に瀕しているカリマンタン熱帯雨林で行った。植えた木は3万5,000本以上におよぶ。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・US11820585
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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