No.802

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2023.09.21

音で認知症に挑む「ガンマ波サウンド」の取り組み

ガンマ波変調技術

GammaWaveSound KV Release TOPimage02

概要

「ガンマ波変調技術」とは、生活における様々な音を、認知症の予防・改善が期待できる40Hz(ヘルツ)変調音「ガンマ波サウンド」に加工する技術。音楽・テレビ・ラジオなどの音源を出来る限り劣化させることなく自然な聞こえ方で変調し、暮らしや社会のあらゆるシーンに実装することで認知症予防・認知機能改善に貢献することを目指す。ガンマ波変調技術を活用することで、家庭から公共の場に至るまで音のある幅広い場所が認知機能ケアしうる場所になることが期待されている。

なにがすごいのか?

  • 独自の音刺激で脳内のガンマ波を惹き起こすことで認知機能をケアできる可能性がある

  • 日常の様々な音声を変調でき、多様な配信コンテンツに実装可能

  • 音を聴くだけの容易さで、日々の暮らしの中で音で認知症の予防・改善を習慣化できる可能性がある

なぜ生まれたのか?

「ガンマ波変調技術」は、ピクシーダストテクノロジーズが持つ五感刺激の技術と、塩野義製薬のヘルスケア領域における研究・知見を掛け合わせることで誕生した。

国内において高齢者人口は増加し続けており、高齢化の進展に伴って認知症の有病者数はさらに増加すると予想されている(※1)。認知症は記憶・学習、言語能力、判断能力などの認知機能が障害されることで本人のQOL(生活の質 Quality of Life)が低下するとともに、介護者の肉体的、精神的、経済的負担にもつながり、社会に与える影響が大きい疾患である。一方で、既存治療法に対する患者満足度は高くなく(※2)、新たなソリューションやイノベーティブなアプローチが求められている。

本技術は投薬など従来の方法とは異なる「音」に着目し、聴覚を起点としたアプローチで認知機能ケアに取り組んでいる。高齢者が無理にトレーニングに励んだり生活スタイルを変えたりすることなく実装できるアプローチとして開発された。

  1. 平成26年度厚生労働省科学研究費補助金特別研究事業「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」

  2. 令和2年度 国内基盤技術調査報告書「60 疾患に関する医療ニーズ調査(第6回)」分析編

実現事例 実現プロジェクト

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音で認知症に挑む「ガンマ波サウンド」の取り組み

音で認知症に挑む「ガンマ波サウンド」の取り組みは、2022年の世界アルツハイマーデー(9月21日)に締結したピクシーダストテクノロジーズ、塩野義製薬、シオノギヘルスケアの3社の業務提携に基づいた、今年からは「ガンマ波サウンド」をより多くの人に体感してもらえることを目指した取り組み。主な活動は、「ガンマ波サウンド」の可能性に共感頂ける人々と共に、様々な「音」のある幅広い場所で、多くの人に、ガンマ波サウンドを聴いてもらう活動を展開していくこと。音という新たなアプローチで認知症に挑み、「ガンマ波サウンド」の取り組みを広げることで、一日でも早く多くの人の希望となれるよう社会浸透を目指している。

具体的には、テレビやラジオ番組、音楽ストリーミングサービスなど個人向けコンテンツのほか、スーパー・商店街・ショッピングモールなどの人が集う場所や、駅や空港などの公共施設、スポーツクラブ、銭湯、高齢者施設など幅広い場所を想定。BGMやアナウンスなど、音のあるあらゆる場所を、認知機能ケアができる場所へとアップデートすることを目指している。

この取り組みは、ピクシーダストテクノロジーズ、塩野義製薬、シオノギヘルスケアが手掛けており、取り組みに共感した三井不動産や第一興商、アーティストの海蔵亮太氏、イオンモール八幡東、銭湯・小杉湯、スポーツクラブ・ルネサンス、音声プラットフォーム・Voicyなどの協力のもと、それぞれの領域でガンマ波サウンドを用いた体験の場や楽曲、プログラムを提供している。

なぜできるのか?

認知機能を活性化するガンマ波の活用

ガンマ波は、アルファ波やベータ波と同様に脳内で発生する脳波の一種で、30Hz以上の周波数を持った脳波。「認知機能の発揮」と関連が深く、認知症患者の脳内ではガンマ波が減少していると言われている。開発メンバーは、ガンマ波が40Hz周期の音刺激で誘発・同期するという研究所見や習慣化のしやすさから、音刺激による認知機能ケアにフォーカス。これまでの研究で用いられてきたブザーのようなパルス音に比べ、TVなどのコンテンツを自然に聴ける40Hz変調音を開発した。

独自アルゴリズムによる音の変調

音声の変調は、音響信号の振幅を増大・減少を高速で行うもの。音響信号全体に変調をかけてしまうもともとの音情報(歌唱やアナウンスなど)が聞き取りづらくなるケースがあったため、ガンマ波変調技術を独自に開発。音情報の劣化を抑制しながら、自然な音響信号の変調を実現した。アナウンスや歌声などの人の声と背景音・楽器音を分割して、変調度を個別に制御。人の声が聞きやすい、独自の「ガンマ波サウンド」を実現している。

日常生活の中で取り入れやすい汎用性

テレビやラジオ番組の音声、歌やBGM、施設アナウンスなど、日常生活で触れる音を変調できるように設計している。変調度合いの強弱を設定する機能も実装可能で、ニュースや音楽など、聴く音に応じて調整できる。イヤフォン、家庭用スピーカー、公共施設や商店施設のスピーカーなど、多様な場所での配信も対応できるため、家庭用から公共の場まで幅広い導入を可能にしている。

相性のいい産業分野

医療・福祉

テレビ・ラジオ・BGMに実装して、高齢者の自然な生活の中で認知機能をケア

生活・文化

商店街・スーパー・病院・老人ホームなどに変調済みのBGM音源を導入

アート・エンターテインメント

ガンマ波サウンドを導入した楽曲のライブや映画の上映会

メディア・コミュニケーション

テレビの副音声や専用チャンネルなど、日常的にガンマ波サウンドを流すコンテンツの提供

製造業・メーカー

ガンマ波サウンドを提供できる端末や家電、設備什器などの開発

流通・モビリティ

高齢者乗車率の高いバスや電車のアナウンスやBGMにガンマ波サウンドを導入

AI

ユーザーの聴力や脳波を分析して、より効果的なガンマ波サウンドを生成するAIの開発

この知財の情報・出典

・特許第7307929号

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © ピクシーダストテクノロジーズ 株式会社