No.857
2024.06.07
遺骨で真珠を養殖し、手元で供養する真珠葬
いのりのしんじゅ
概要
「いのりのしんじゅ」とは、遺骨を含んだ核で真珠を養殖し、身近において故人を偲ぶ手元供養品。真珠のもととなる核に遺骨の一部を混ぜ、アコヤ貝などの母貝に入れて真珠層を生成する。1案件90個以上の貝で養殖するため、複数の真珠を得ることができ、家族や親族などで分けられる。真珠の色・形、養殖の成功率は、海水温や天候、貝の状態などの自然条件によって変わり、自然が生み出すため、亡き人が“蘇る”感覚ももたらす。骨壺での保管やダイヤモンドへの加工といった、これまでとは趣の異なる手元供養として、国内外への展開が期待される。
なぜできるのか?
真珠養殖の仕組みを応用
真珠養殖は、アコヤ貝などの母貝の生殖巣に、真珠質を分泌する細胞片と貝殻などを加工した球状の核を埋め込み(核入れ)、海に戻して行う。三重県の伊勢志摩で130年以上前に確立した手法で、「いのりのしんじゅ」はその手法を応用している。磁器のボーンチャイナのようなイメージで、粉砕した遺骨を粘土に混ぜ、球状に丸めて焼き、セラミック核を作製。その核を母貝に埋め込み、志摩市英虞湾辺りのイカダに吊るして養殖している。90個の核製作には基本15gの遺骨を利用。頭髪などの毛でも製作できる。核入れは5月~7月あたりに行い、メンテナンスを経て12月に浜揚げする。遺族は、希望により核製作・核入れや浜揚げに参加可能。90個の養殖で、概ね9珠~18珠の真珠を受け取れる。
海洋散骨事業の知見
アッシュオンは、既存事業として伊勢志摩エリアで海洋散骨(自然葬)を行う「志摩海葬」の事業を展開。伊勢志摩の英虞湾・五ケ所湾を出港地として、太平洋の沖合に船を出し、遺族の海洋散骨をサポートしてきた。現地で事業を展開する中で、年々真珠の養殖業者が減っていく現状を目の当たりにし、真珠養殖業に着目。伊勢志摩の活性化に寄与する事業として、遺骨を核に含めるアイデアを発案した。真珠養殖の技術習得などを経て、2016年より「いのりのしんじゅ」を開始している。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。
Top Image : © 有限会社 アッシュオン