No.1009
2025.01.24
遠赤外線を活用し身体を自然に“保温”する高機能素材
光電子®
概要
「光電子®」(こうでんし)とは、人体が発する体温(遠赤外線)を用いて、自然なぬくもりで身体を「保温」する高機能素材。独自の微粒子セラミックスを練り込んだ繊維で、人体から出る遠赤外線の吸収・輻射(ふくしゃ、熱エネルギーの放射)を繰り返し、あたたかさを保つ。体温以上に「加温」せず快適な状態をキープでき、リラクゼーション効果や疲労の軽減・回復、睡眠の質の向上をもたらす。糸や綿といった様々な繊維製品に展開可能で、アパレル分野に加え、寝具、家具、建物やモビリティの内装など幅広い領域での活用が期待される。
なぜできるのか?
体温を効率的に輻射する独自素材の開発
人体をはじめ地球上のほとんどの物質が発している遠赤外線に着目。人間の体温域(約35~37℃)で、遠赤外線を効率よく吸収・蓄熱して放射する機能性素材を開発した。鉱物などの赤外線放射材料と樹脂を混合し、50~300ナノメートル(1㎚=1/100万mm)という小さな粒子のセラミックスを構築。独自技術で性質の異なる複数の微粒子セラミックスを繊維に配合し、従来技術では難しかった輻射効率の高い素材を実現した。繊維に練り込んでいるため、洗濯しても取れづらくアイロンにも対応し、持続的に効果を保つ。皮膚パッチテストや毒性試験などに合格しており、人体に害がないことも検証済みだ。
コンディショニング機能の学術的検証
保温機能に加え、身体を整えるコンディショニング効果がある。大阪府立大学 清水教永教授の協力を得て、「光電子®」製品の継続着用効果を検証する実験を実施(平均7時間以上の着用で30日間継続)。検証の結果、免疫ホルモンの有意な変化によるリラクゼーション効果、疲労感やパフォーマンスの低下につながる活性酸素量の減少、入眠や深い睡眠に移る時間の短縮による睡眠の質の向上が確認された。
製品展開しやすい加工性・機能性
粉末状の微粒子セラミックスを繊維に直接練り込むため、様々な製品に加工できる。ナイロンやポリエステルなどの糸をはじめ、中わたやダウンなどに活用可能。アンダーウェア・アウターといった衣料品や寝具などに展開されている。熱を発する「加温」ではなく温度をキープする「保温」のため、冬の防寒だけでなく、夏場の冷房による冷え対策も可能。また、遠赤外線の作用で汗などの水分蒸発を促すため、内部をドライで快適な状態に保てる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・特許第4705205号 / 第7104454号
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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