No.1159
2026.07.16
毛髪の1/7500の細さで高強度、多機能な超極細繊維
ナノフロント®

概要
「ナノフロント®」とは、直径700 ナノメートル(nm)の超極細で高強度なポリエステル繊維。独自の紡糸技術で、1本の糸の断面積が髪の毛の7500分の1という細さの長繊維(連続した長さを持つ繊維)を実現し、従来では難しかった量産を可能にした。ナノファイバーを高密度に集めて「高表面積」「吸着」「柔軟性」などの特徴を備えた構造体を形成でき、グリップ性や吸水性、遮熱、防透、しなやかさといった機能を製品に実装できる。より細いナノファイバーの作製や、リサイクル原料を使った生産も可能。グローブなどのスポーツ用品や生活雑貨、産業資材のほか多様な商品展開に対応して、新たな価値をもたらすと期待されている。
なぜできるのか?
独自の紡糸・ポリマー技術と糸加工・構造体形成技術
「海」に「島」が点在するような断面構造に二種類のポリマーを配置し、海成分を溶解して繊維を取り出す「海島複合紡糸技術」を高度化して、独自の紡糸技術を構築した。ポリマーを押し出す紡糸口金を新たに設計して、従来のマイクロファイバーの50~100倍の数の島を設け、作製した原糸を延伸。独自のポリマー技術で、加水分解性に優れた海部分を形成して海と島を均一に溶解分離し、ナノサイズの長繊維の量産を実現した。溶解分離には、環境負荷の少ない水系溶剤を用いている。
さらに、独自の糸加工技術と布・織物や不織布などの構造体形成技術を確立。多数のナノファイバーを高密度に集めて2・3次元の構造体を形成でき、「高表面積」「吸着」「分離」「柔軟性」などの特性を活かした製品開発を可能にしている。
多様な機能性を実装する製品化技術
独自の製品化技術で、特性を活かした多様な機能性製品を生み出すことができる。
通常繊維の数十倍に及ぶ高表面積と、壁を登れるニホンヤモリなどの生物の足裏構造を模したバイオミメティクスで、滑りにくい生地を構築。生地表面のナノサイズの凸凹で摩擦力を生じさせ、高いグリップ性とフィット性を実現している。水分(汗・雨など)を含んでも高いグリップ力を維持しやすいのも特徴。ゴルフグローブやサポーター、靴下などに用いられている。
直径700nmの繊維による高密度な織物は、熱を伝える赤外線領域の波長(780~1,000nmほど)を反射して遮熱できる。機能剤の後加工とは異なり、繊維自体が遮熱性を持つため長期間効果を持続。日傘などに搭載でき、省エネにも寄与する。また、光の拡散反射性と空隙(すき間)をナノレベルで埋める緻密な繊維構造により、防透性も実現。薄い生地でも透けにくく、ユニフォームやカーテンなどに適している。
緻密な繊維構造はろ過や拭き取りにも対応する。微細な孔径(穴の直径)構造で高い捕集性を実現し、液体やゲル状物質、気体のろ過が可能。原料の組み合わせで圧力損失も低減する。細かな繊維・空隙で拭き取り性能を発揮し、水やほこりに加え油汚れまでカバー。工業用・商業用クロスなどのニーズに対応する。
極細繊維はしなやかさや心地よさももたらす。通常ポリエステル繊維と比べ、しなやかさ(柔軟性)が約20万倍で、肌摩擦の少ないソフトな風合いを実現。また、高効率な水蒸気の発散で汗を吸収・拡散し、体温上昇を抑制する。肌なじみの良さやクーリング性能は、機能性ウェアやスポーツ用品などに利用できる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・特許 第4922654号/ 第5145004号/ 第5249649号 etc.
・商標登録 第5175638号/ 第5910652号/ 第6086966号
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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