No.953
2024.11.27
ハンズオフ(手放し)で自動走行するフロア清掃モップ
NISSAN ProPILOT MOP
概要
「NISSAN ProPILOT MOP(ニッサン・プロパイロットモップ)」とは、ハンズオフ(手放し)で自動走行するフロア清掃モップ。ハンズオフ状態で自律的にモップがフロア上を動き、障害物と接触することなくモップがけを行う。日産自動車の先進運転支援技術「ProPILOT 2.0」から着想し、位置制御技術などを用いて開発した。雑巾やホウキといった清掃用具全般への展開に加え、生活用品や備品、家具、設備の整頓・収納など多方面での展開が期待される。
なにがすごいのか?
ハンズオフ状態でモップが自動走行しフロアを清掃
自動車の運転支援技術を起点にアイディアを考案
隊列走行やライン上の走行、蛇行など自在な走行が可能
なぜ生まれたのか?
日産自動車が持つProPILOT 2.0の技術訴求を目指して開発された。ProPILOT 2.0は、自動車で高速道路を走る際に、ハンドルから手を放したハンズオフ状態での走行を実現する運転支援技術。カメラ、レーダー、ソナー、GPS、3D高精度地図データなどを組み合わせ、周囲360度の情報や位置を把握。高速道路上のレーン、速度案内標識、周辺車両の動きをリアルタイムでキャッチしながら、車速や車線を維持して走行する。分岐や追い越しのための車線変更も可能。日産は2019年から、同技術を搭載した自動車を販売している。
自走するモップの開発に着手したのは2022年。同年に共催したNBAのイベントを機に、ProPILOT 2.0の技術をわかりやすく伝えるため、TBWA HAKUHODOらと連携して、企画開発に着手。約3カ月間を費やし、ハンズオフ走行や、車線維持アシスト、追い越し支援などを表現できる「NISSAN ProPILOT MOP」を開発した。
なぜできるのか?
センサーを用いた緻密な位置制御
モップを束ねるヘッド部分に、緻密な位置制御を行うセンサーなどの機器を搭載。事前にインプットしたフロアデータをもとに、モップの位置を正確にとらえて制御し、自在な走行を可能にした。それにより、一定距離での隊列走行や、ラインに沿った走行の維持、前方のモップの追い越しなど、ProPILOT 2.0を表現するモップの自動走行を実現している。
驚き・楽しさ起点の技術訴求
自動車に内蔵されたProPILOT 2.0技術の特徴を伝えるため、驚きと楽しさを持つ訴求方法を模索する中で、フロアスポーツに欠かせないモップに着目。そのベースには、バスケ経験を持つ企画開発者が以前から抱いていた「モップが自動で動いたら楽だし面白そう」というフラットアイディアがある。この取り組みは、伝えたいことを発信する広告型アプローチではなく、見る人に寄り添い共感を生む新しい広告手法として、多方面から評価されている。
車両技術を生活に取り入れるプロジェクトの実績と知見
日産自動車は、「車両技術で培った技術を、みんなの生活の中に」をコンセプトに、「TECH for LIFE」プロジェクトを2016年から実施。その中でこれまで、日常生活の中に車両技術に近しい機能を落とし込み、面白く伝える取り組みを行ってきた。実現プロジェクトの第一弾は、ProPILOTのパーキングアシスト機能から着想を得た、「インテリジェントパーキングチェア」。椅子使用後に手を鳴らすと、椅子が自ら自動で定位置に戻るというもの。その後も複数のプロジェクトを展開しており、2019年にはProPILOT 2.0から着想した、確実にカップインするゴルフボールを開発。「NISSAN ProPILOT MOP」の開発もそうした実績や知見をベースにしている。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
専門技術を日常生活に落とし込み、わかりやすく伝えるプロモーションの企画
- スポーツ
試合の間や試合前後の清掃・準備・片付けも楽しめるイベントの開催
- アート・エンターテインメント
面白さ起点で作品の1つとして鑑賞できる広告の制作
- 製造業・メーカー
自走して定位置に戻る生活用品や備品の開発
- 住宅・不動産・建築
生活用品や備品などの自動整頓・収納を可能にする建物設計と建材開発
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 日産自動車 株式会社