No.901

Tech Direction Awards受賞作品

2024.08.27

3D環境で2Dアニメーションを制作できるソフトウェア

Odyssey

07 ODYSSEY

概要

「Odyssey(オデッセイ)」とは、3D環境で2Dアニメーションを制作できるソフトウェア。3DCGの制作が可能な「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」をベースに2Dアニメーションの制作環境を構築しており、単独で機能しながら、2D・3Dの画像をシームレスに操作して統合できる。主に2Dアーティストの利用を想定し、レイヤーや描画などの機能を搭載して、3Dソフトウェアに触れる機会がなくても容易に使えるソフトウェアを開発した。アニメーション、ゲームなどのエンタメ領域で、2D・3Dの垣根を超えた表現の可能性を拡げ、新たな作品やプロダクトを生み出すと期待されている。

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なぜできるのか?

「Unreal Engine」の活用

設定や変更が即時反映するリアルタイム3Dエンジンの「Unreal Engine」を基盤に用いている。Epic Games社が手がける「Unreal Engine」は、プログラミング不要で3DCGの動作・演出が可能。ゲーム開発を始め、建築・自動車の設計、映像制作など、様々な領域で活用されている。ただ、既存システムは3D専用で2D画像を直接描画できず、100GBと重い。そこで、3D環境内で独立して2Dアニメーションを制作できるソフトウェアの開発に着手。約12GBと軽く、スタンドアローンで機能するソフトウェアを構築した。「Odyssey」では3D空間内に2Dで直接描画可能。ストーリーボード機能を搭載しており、カメラやプレーン(画像を貼り付ける透明な板)を配置・調整してアニメーションを制作できる。

2Dアーティストが使いやすい設計

描画ツールの開発やレイヤー機能の追加などを行い、2D制作のための環境を構築している。毛質・油絵・エアブラシ・水彩など、250種類以上の多様なブラシを作成。リアルな色の混ざり方や透明度を表現するため、高精度な色管理機能を搭載した。また「Unreal Engine」にはレイヤー機能がなかったため、新たに追加。さらに、液晶タブレットが使えるよう環境を整えた。2Dアニメーションの制作機能でも使いやすさを追求し、ベクター形式・ラスター形式のいずれにも対応。組み合わせて利用でき、ベクター線の描画・塗りつぶし・変形などやラスターでの直接描画など、自由な作成・編集を可能にしている。

2D・3Dのシームレスな操作性

「Unreal Engine」との互換性が高く、2D・3D画像のリアルタイム編集ができる。ドラッグ&ドロップのシンプルな操作で、2Dの画像・アニメーションを3D環境に組み込み可能。3D環境内での直接編集も可能で、即時に変更内容をアニメーションに反映する。3Dの舞台・素材は、「Unreal Engine」のマーケットプレースから選択して利用でき、位置・サイズ・光源の位置などを編集可能。2D描画モードでは、3D空間に描画用レイヤーを設置して、自由に作成・配置できる。また、ショットの作成・追加やカメラワークなど、3D空間のアニメーションすべてをシーケンサーで管理できるため、制作プロセスや作業もスムーズにする。

相性のいい産業分野

IT・通信

2D・3Dの世界が融合したアニメーション・映像・ゲームの制作

アート・エンターテインメント

バーチャル空間で2D・3Dの絵を描く、映像に没入するなどのイベントの企画

教育・人材

2D・3Dのアニメーション制作学習用ツールとして活用

AI

プロンプト入力で2D・3Dオブジェクトを自動生成する機能の搭載

メディア・コミュニケーション

子どもの絵や思い出の写真などを3Dアニメーションで映像化するサービスの開発

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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