No.946
2024.11.26
光計測とAIで音の波を高精細に可視化する技術
音の波の見える化技術 by NTT
概要
「音の波の見える化技術 by NTT」とは、光計測とAIを組み合わせて、音の波を高精細に可視化する技術。光で音をセンシングする「光学的音場イメージング」技術をベースに、ハイスピードカメラと独自の深層学習モデルを用いており、空気中を伝わる音の波を動画像で可視化する。従来技術では、小さな光の信号を検出する際に光学的なノイズの影響を大きく受け、高精度な可視化が困難だったが、不要なノイズを除去する深層学習モデルを構築して、世界初の高精細な見える化を実現している。音の新たなセンシング手段として、音響デバイス開発や従来技術の高効率化などへの展開に加え、空間の音を余すところなく完全にデジタル化する「音のデジタルツイン」技術への活用が期待されている。
なぜできるのか?
培ってきた「光学的音場イメージング」技術
音を光の明るさに変換する特殊な装置を用い、ある瞬間の音の波紋を画像で記録する「光学的音場イメージング」技術の研究開発がベースにある。同技術では、測定したい音場(音が存在し、伝わっていく空間)内にレーザー光を照射し、光干渉計などを用いて、音による光の微弱な変化を検出。光の変動をカメラで撮影し、音の波を画像で可視化する。その空間分解能(識別性能)は高く、空間内の音を検出・測定する一般的な装置であるマイクロホンアレイの約100倍に及ぶ。「音の波の見える化技術」では、毎秒数千~数十万フレームの速さで撮影可能なハイスピードカメラを用いており、動画像での撮影を可能にしている。
独自の深層学習モデル
光学的なノイズを除去し、音の波のみを見える化する独自の深層学習モデルを構築。同モデルを用いて、ハイスピードカメラで撮影した動画像の中から、音の可視化品質を低下させる不要なノイズを除去している。深層学習モデルの構築にあたっては、音の物理的な性質にもとづいた演算で、訓練用の画像を人工的に生成。生成したデータセットでニューラルネットワークの学習を行った。さらに、動画像を周波数ごとに独立処理するアルゴリズムを独自に構築。従来手法を大幅に上回る、高精度なノイズ除去処理を実現している。
相性のいい産業分野
- 製造業・メーカー
騒音や音響を計測・コントロールするデバイスの開発
- 生活・文化
オフィスや施設、住宅内の状況検知して、犯罪防止・危険回避する仕組みの構築
- 住宅・不動産・建築
都市開発、建築物の設計・建設時の騒音管理や制御に活用
- 医療・福祉
病状把握や治療に用いる医療用の画像生成機器や診断ツールの開発
- アート・エンターテインメント
聴覚・視覚・触覚など複合要素で没入するアート・展示の開催
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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