No. 003 石から生まれた、紙やプラスチックに代わる新素材

LIMEX(ライメックス)

「LIMEX(ライメックス)」は、石灰石から紙やプラスチックの代替品を作り出すことができる日本発の新素材。紙の代替品となる「LIMEXシート」はこれまでのように製造工程で木や水を大量消費することがなく、また、石灰石は世界中にほぼ無尽蔵に存在していることから、環境対策への切り札となる可能性を秘めている。

なにがすごいのか?

  • 石灰石というありふれた資源から紙やプラスチック代替品を開発できる
  • 「LIMEXシート」は耐水性に優れ、濡れても強度が落ちず破れない
  • 原料が石のため経年変化に強く、高効率なリサイクルが可能なため、環境への負荷が少ない

なぜ生まれたのか?

台湾の「ストーンペーパー」を着想のきっかけに、より高品質な素材を作りたいとの思いから、ストーンペーパーとは異なる製法技術を用いた自社開発を開始。原料の5割以上が石灰石という新素材「LIMEX」から紙やプラスチックの代替品を作ることができるため、木や水、石油といった天然資源の使用を大幅に削減することができる。高効率でリサイクル可能な「LIMEX」は、すでに印刷会社と古紙問屋との連携も進めており、SDGsの観点からも幅広い分野への活用が期待されている。

妄想プロジェクト

耐水性を活かした、漫画を読める「漫画喫サウナ」

サウナと漫画、一見すると魅力的なこの組み合わせには、「紙が水に弱い」という致命的な弱点があった。サウナの傍らに置かれた、蒸気や汗でふにゃふにゃになった漫画や雑誌を残念な気持ちで見つめた経験のある人は多いだろう。そこで、この「LIMEX」シートで作った漫画を集めた漫画喫茶とあわせて展開することで「サウナで漫画を読む」贅沢な時間を楽しむことができる。
サウナに限らず、温泉やホテルのプール、海辺でも水に濡れることを気にせず読書が可能になると、知的なエンターテイメントとしての生産性が高まり、身体的な癒やし効果だけでなく、十分にクリエイティブな時間となるはずである。

なぜできるのか?

高い耐水性と印刷適性

「LIMEX」は石灰石を主原料とするため非常に高い耐水性と耐久性を持ち、浴室や水回りだけでなく水中でも利用することが可能。軽くて印刷適性が高く、名刺やメニュー表、ポスター、冊子、ラミネートされた印刷物の代替など様々な用途で使える。

リサイクルとアップサイクル

「LIMEX」の主原料となる石灰石は経年変化にも強く、リサイクルでも物性が劣化しにくいため、使用済みの紙代替製品を回収して、プラスチック代替製品へのアップサイクルが可能。新しい財やサービスが、普及していく過程で既存インフラにとって異物として扱われることは、LIMEXに限らずあらゆる産業の発展途上の段階においては常に生じていることだが、すでに神奈川県や福井県鯖江市などでLIMEXの回収モデルを提案し、循環型社会を実現していく活動が始まっている。

環境への負荷抑制

「LIMEXシート」は塗工印刷用紙と比較して製造の際に木材や水をほとんど必要としないため、水資源の少ない場所での製造も可能。紙の生産国では排水による水質汚染対策が求められるが、LIMEXは製造行程において汚染された排水を出さない。地球資源の枯渇を抑制することが期待されている。

相性のいい分野

ライフスタイル
飲食店や公共交通機関での紙の印刷物、日用品やショッピングバッグなどのプラスチック製品をLIMEX製品への置き換え
エンターテインメント
大規模な音楽フェスやスポーツイベントなど、大量に廃棄物が出るシチュエーションでの飲食容器やパンフレットへの活用
教育・出版
学内の研究資料や刊行物を紙からLIMEXによる印刷に置き換えることでの長期保管

知財情報

主な知財ホルダー:株式会社TBM

・商願2013-91978:「LIMEX」
・特開2013-010931:「無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法」
・特開2017-057403:「加工用薄膜材料」

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

Ryo Arai
荒井 亮 Ryo Arai
Producer / Konel Inc.

1977年東京都荒川区生まれ。立教大学社会学部産業関係学科卒。クリエイティブ会社にてライブ配信事業のプロデューサーとして番組の企画制作、各種アライアンスやチームビルディングを担当。その後、Konelに所属し「日本橋地下実験場」を中心としたプロジェクトに関わる。聴覚を拡張するプロダクト『PlayEar』の開発や、インターネット世代のポップカルチャー、メディアアート、ペットテック領域に関心がある。