No. 045 クリエイティビティを拡張する作曲アシストAI

Flow Machines Professional

この知財は、最先端の機械学習や信号処理技術などにより、アーティストとともに様々なスタイルの新しい音楽を生成する、AIアシスト楽曲制作ツールである。従来の音楽生成技術は、与えられた作曲ルールに則る全自動の作曲が中心であり、クリエイターとのリアルタイムなインタラクティブ性に乏しかったが、この知財はAIによってクリエイターの能力を拡張することに主眼がある。将来的には、音楽の専門性の垣根を越え、各人が自由に音楽を創造できる機会を創出することが期待されている。

なにがすごいのか?

  • 様々な音楽を解析し構成された音楽ルール
  • クリエイターの構想のもと、多様なスタイルのメロディーを自由自在に生成
  • クリエイターがアイデアとインスピレーションを得ることで、より創造性を拡張できる

なぜ生まれたのか?

2012年にソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)のパリオフィスがパリ第6大学と共同で始めた音楽研究が土台となっており、現在はソニーCSLが株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントと共同で研究を進めている。これまでの音楽の歴史においても、それぞれの時代における発明や技術開発によって、クリエイターの持つクリエイティビティが拡張され、新しい音楽のステージへ到達してきた。古くは、様々な楽器の発明に始まり、近代に入ってからも、シンセサイザー、ドラムマシンの発明などにより、新しい音楽が実現してきた。近年では、AIの発展が目覚ましく、人間の仕事に取って代わることも議論されているが、あくまで中心は人間であり、「AIによって人間のクリエイティビティを拡張できるのか」、そんな問いに答えるべく研究開発が進められている。

妄想プロジェクト

脳波連動没入リフ生成マシーン

今そこで、心地よいゆったりとしたサウンドが鳴り響いている。近未来的、でもどこか懐かしいサウンドだ。あなたは目蓋を深く閉じ、時間が経つのも忘れ、ずっと聴いている。この演奏者はどうやら、あなたがその瞬間に心地よいと感じる”ツボ”を押さえ、曲調を絶妙に調整してくれているようだ。

やがてあなたはふと思い出す。

「そういえば今日はやりたいことがあったんだ」

すると演奏者はあなたの頭に着けられた脳波計から感情を分析し、曲調を沸々とやる気の湧くようなフレーズに変え始める。そしてあなたはポジティブで勇ましい気持ちを最大限に保ちながら、目蓋を開く。

こんな体験を、「没入リフ生成マシーン」が可能にしてくれるかもしれない。このマシーンはあなたのリアルタイムな脳波情報を元に、大好きなミュージシャンが自分の感情に合わせて曲を演奏するのを手助けしてくれる。
ソニーCSLの開発した「Flow Machines Professional」という作曲アシストシステムが技術の根底にある。このシステムは単独で動作することなく、あなたの感性やクリエイターたちとうまく連携することが得意だ。

さあ、あなたの感性を研ぎ澄ませよう。

なぜできるのか?

先端ソフトウエア技術により、多様なスタイルのメロディーを生成

様々な音楽を解析し構成された音楽ルールに加え、先端ソフトウエア技術を用いたクリエイターの指示により、新しい楽曲のメロディー、コード、ベースが生成。そこからインスピレーションを得て生まれたメロディーを交えながら作曲を行う。通常の音楽制作のプロセスと同様、デジタルオーディオワークステーションなどを用いてアレンジを行い、歌詞作成、楽器演奏、ミキシング、マスタリングなどを経て楽曲を完成させる。

相性のいい分野

音楽
大規模な曲データベース学習による「現在のトレンドの曲調」の抽出や、多くの人が聴いたこともないような曲調の創出
心理学
その日の気分や感情を検知する技術とのコラボレーションによって、現在の心理状況から潜在的に今聴きたい音を自動生成支援
エンターテインメント
AI支援による文章・映像生成とのコラボレーションによって、新たな視聴覚体験を演出
教育
音楽の授業で先生や生徒の創作をサポートするティーチングアシスタント

知財情報

主な知財ホルダー:ソニーコンピュータサイエンス研究所、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー株式会社

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

Mitsuhiro Odaka
小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。