No. 077 コップ1杯の水から生態系を可視化する

環境DNA分析

環境DNA分析は、河川・池・海などの水をコップ一杯程度採取することで、生物を捕獲せずにそこに生息する生態の詳細な調査を可能にする分析手法。DNAを検出して特定の種ごとの情報や、その一帯にどのような種別がどれぐらいの数いるのかまで調べることが可能。これまで知りえなかった生態情報の大量取得ができるとともに、生態系情報化社会への期待がかかっている。

なにがすごいのか?

  • コップ一杯の水から、その一帯に生息する種別の検出が可能
  • 労力を大幅にカットし、画一化された分析手法で精度の高いDNAデータが採取できる
  • 水産資源や環境問題において、データに基づいたエビデンスベースでの各種判断が可能となる

なぜ生まれたのか?

生物種の保護・管理をする上で最も基本的かつ重要な情報は、生物の生息分布や個体数、生物量とされている。その測定には様々な手法や分布予測モデルが提案されてきたが、従来の研究では、生物の生息場所や生息量を目視で数える、採集を行う、網を仕掛けるなど、多大な労力と時間をかけて調査を行う必要があった。環境DNAによる生物分布調査は、既存の手法を補完し、遺伝情報など新たな情報を付加できる可能性を秘めており、今後の研究開発が求められている。

なぜできるのか?

環境中に放出された生物由来のDNA

水中、土壌中、空気中などあらゆる環境中には、そこに生息している生物由来のDNAが存在している。そのDNAを総称して「環境DNA (environmental DNA, eDNA)」と呼ぶ。ある場所の環境DNAを採取し分析することで、生物の在不在や生物量・個体数、遺伝情報などの膨大なデータを得ることが可能となった。

種ごと、あるいは全種の網羅的な検出

コップ一杯の水を採取した一帯の河川や海の中にどんな種別の生物が生息するのか、もしくは特定のDNAの種だけを検出して調べることができる。

相性のいい分野

水産
生態系のビッグデータ化により、天気予報のような精度で魚群の発生予測ができる「水産予報」
環境
外来種の駆除がどこまで進んだかを見極めることでの環境保全活動のサポート
飲食
魚介類の収穫量が予測できることにより、飲食店側で予め最適なレシピを考案・提供
レジャー
池の中に生息する特定の魚を釣ることを目的とした、フィッシング競技の開催

知財情報

主な知財ホルダー:龍谷大学 生物多様性科学研究センター、一般社団法人環境DNA学会ほか

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

Ryo Arai
荒井 亮 Ryo Arai
Producer / Konel Inc.

1977年東京都荒川区生まれ。立教大学社会学部産業関係学科卒。クリエイティブ会社にてライブ配信事業のプロデューサーとして番組の企画制作、各種アライアンスやチームビルディングを担当。その後、Konelに所属し「日本橋地下実験場」を中心としたプロジェクトに関わる。聴覚を拡張するプロダクト『PlayEar』の開発や、インターネット世代のポップカルチャー、メディアアート、ペットテック領域に関心がある。


知財ライティング: 荒井 亮