No. 080 壁の向こうにいる人の動きを透視する技術

RF-Pose

RF-Poseは、電波とAIを組み合わせ、壁の向こうにいる人間の位置や細かい動きを透視できるシステム。ワイヤレス電波信号と画像データをAIに学習させることで、壁の向こうの複数人の動きの骨格をリアルタイムに描画することができる。従来の安全性とプライバシーの問題を解決した上で透視できることから、医療施設や災害現場での応用が期待されている。

なにがすごいのか?

  • 100人もの大規模グループでも83%の信頼性で、壁の向こうの人間の動きを追跡
  • 高電力の装置もモーショントラッキング専用スーツも不要
  • カメラを伴わない、スティック図描出によるプライバシー尊重

なぜ生まれたのか?

これまでにも「壁の向こうのデータを推定する(透視する)」AIは作られてきたものの、従来のAIは、可視光線が壁や家具などの障害物でブロックされることから、壁の向こう側のデータを認識することなく、人間の与えた正解ラベルに頼って学習していた。透視技術としてX線を利用することも考えられたが、X線による透視では観察するものすべてに放射線を浴びせてしまう問題があり、安全性とプライバシーの確保できるAIが必要とされていた。

なぜできるのか?

ワイヤレス信号とスティックからの学習プロセス

Wi-Fiの1/1000の低電力のワイヤレスRF(Radio Frequency)信号が、壁の向こうの人間に向けて送信。壁を透過して人間に反射(*1)した信号は、壁を透過してまた検出器に戻ってくる。受信した信号に加えカメラを使うことで、歩く、話す、座っている、ドアを開く、エレベーターを待つなどの活動をしている人間の何千もの画像を同時に記録する。画像から抽出したスティック図(人体の主なポイントを示した図)と対応するワイヤレス信号を、ニューラルネットワークによって学習する。

(*1) 人体の大部分を占める水は、電波信号が透過しにくい。

ノイズの除去

検出器に戻ってくる電波信号には膨大な量のノイズが混ざっているが、学習を繰り返すことで人体からの反射のみで推定できるようになる。

相性のいい分野

医療
患者一人一人を対象とした疾患(パーキンソン病、多発性硬化症、筋ジストロフィーなど)の進行の監視、投薬の調整
ヘルスケア
高齢者の活動パターンの変化を監視、見えない場所での転倒・怪我防止
セキュリティ
家の外にいる人の様子をトラッキングすることでの防犯
災害
災害や事故現場での生存者捜索・救助
エンターテインメント
商業施設など、屋内を移動するプレイヤー同士による新しいゲーム体験

知財情報

主な知財ホルダー:MITコンピュータ科学・人工知能研究所

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

Mitsuhiro Odaka
小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。