No. 136 ウイルスやアレルゲンをブロックするダチョウの抗体

ダチョウ抗体

この知財は、ダチョウの産生する抗体(IgY)である。この抗体は、ダチョウに抗原を注射し、体内で作られた抗体を卵から精製することで生産され、ウイルスやバクテリアなどの病原体を不活性化する能力が非常に高いのが特徴。大量生産が可能で熱にも強いことから、これまで困難とされていたマスクなどの日常品への抗体の利用を可能にした。

なにがすごいのか?

  • 多様な病原体に対応し得る応用性の高さ
  • 抗体が産生される速さ
  • マウスや鶏を使った場合の4千分の1の生産コスト

なぜ生まれたのか?

開発者である京都府立大学の塚本康浩教授が、けがを負ってもすぐに治り、劣悪な衛生環境でも病気にならない生命力を持つダチョウに注目。試しにダチョウにウイルスを注射したところ、他の動物を用いた場合よりも速く、また商品化に十分な量の抗体が産生されたことから研究がスタートした。

実現プロジェクト

ダチョウ抗体マスク

ダチョウ抗体マスクは、従来タイプのウイルス対策用マスクに使用されている静電フィルターに加え、抗原抗体反応によりウイルス、花粉アレルゲンに瞬時に結合してカットするダチョウ抗体フィルターを組み込んだ不織布製マスクである。ダチョウ抗体フィルターには、花粉アレルゲン、季節性インフルエンザ(Aソ連型・A香港型・B型)に加え、新型インフルエンザ(A/H1N1)、鳥インフルエンザ(H5N1) 、鳥インフルエンザ(H7N9) に対して選択的に結合するIgy抗体が数100兆個以上、敷き詰められている。感染に不可欠なウイルスの表面の突起を抗体が覆ってしまうので、ウイルスからのリスクが低減するといわれている。

なぜできるのか?

ダチョウの抗体産生の速度と量

ダチョウはあらゆる抗原に対する抗体を産生できる。ダチョウに注射された抗原に対する抗体は、母鳥の血液から卵へ移行し、ヒナ鳥を守るシステムを持っている。それを抽出・精製することで抗体を生産できる。他の動物を用いた場合、体内で抗体ができ始めるのが2週間とされている一方、ダチョウはこの期間で商品化に十分な量の抗体を作ることが可能。

生産コスト

マウスや鶏を使った場合の約4千分の1のコストで精製することができる。抗体は卵に凝縮されており、1個でワクチン接種8万回分を作ることが可能。

 

相性のいい分野

医療
現在、マスクや抗菌スプレーなどの感染予防・減菌製品に応用されている。ダチョウ抗体に覆われたウイルスは人の細胞に侵入できなくなり、感染を予防する効果がある。これまでに、SARS、新型インフルエンザ、花粉症などに効果を持つ製品を開発。世界中に感染拡大している新型コロナウイルスへの対応も進められている。

知財情報

主な知財ホルダー:オーストリッチファーマ株式会社

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

松﨑 啓 Hiraku Matsuzaki
Assistant Producer / Konel Inc.

1994年熊本生まれ。修士(工学)。大学院在学中に留学したテキサス大学オースティン校ではPRを学んだ他、現地の半導体メーカーにてリサーチャーとしてインターンシップを経験。メディア表現領域に関心を持っている。