No. 169 秘密を保持したままAIを共同開発

Federated Learning(フェデレーテッドラーニング)

Federated Learning(フェデレーテッドラーニング:連合学習)は、データを自社外に出さずに共同で学習モデルを開発する機械学習の枠組み。従来のアプローチとは異なり、モデルパラメータのみを集めてより洗練されたモデルを作成・再配布する。個々の端末ノードのデータは共有・転送されることがなく、プライバシー規制への準拠が強化されるため、医療や金融分野における機密情報がはるかに扱われやすくなると期待される。

なにがすごいのか?

  • 集約されたビッグデータによるAI共同開発
  • 様々な異業種間での同一でないデータの共有が可能
  • データプライバシー保護の問題を解決

なぜ生まれたのか?

AI開発において、1社だけで行うよりも、各企業が自社データを持ち寄れば、集約された生データによって学習モデルの精度が上がることは想像に難くない。しかし、各企業が自社データを他社に公開するには、プライバシーやセキュリティ、データアクセス権、異種データへのアクセスなどの問題をクリアする必要がある。2017年、Google社は、これらの問題に対処した上で複数企業によるAIの共同開発を加速すべく「連合学習」の枠組みを発表するに至った。

なぜできるのか?

ローカルモデルの集約

スマートフォンなどの端末ノードにて、各ユーザーの行動パターンといったローカルデータを用いてローカルモデルを訓練する(スマートフォン使用環境を最適化する)。ユーザーの個人情報などを外部に出すことなく、重みやバイアスといった学習モデルパラメータのみをノード間で交換し、中央サーバーに送信する。

グローバルモデルの更新

集約されたモデルパラメータを基に、中央サーバーにて、グローバルモデルのパラメータを更新する。これは、すべてのローカルデータが1つのサーバーにアップロードされる集中型機械学習手法や、ローカルデータが同一に分散していると想定する分散型アプローチといった従来のアプローチとは対照的である。

相性のいい分野

交通
障害物を分析するコンピュータビジョンモデル、道路の凹凸などに適応する学習モデルといった、多数のモデルをカプセル化した自動運転システム
ヘルスケア
多様な医療機関からの機密性の高い患者データを集約、1つの医療センターが保有する以上のビッグデータを用いて、脳腫瘍早期発見のためのモデルを訓練
セキュリティ
金融機関が口座番号を含む取引データを外部に開示することなく連携。不正取引を自動検知する強力なモデルにより振り込め詐欺やマネーロンダリングなどの金融犯罪を防止

知財情報

主な知財ホルダー:Google LLC

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。