No. 183 世界で最も明るく、個体状でも光る蛍光染料

SMILES

(c) 2020 Amar Flood

SMILES(small-molecule ionic isolation lattices;低分子イオン分離格子)は、既存のあらゆる蛍光染料の輝度を上回る、世界で最も明るい蛍光染料。通常、液体状態では分子間の距離が保てるため蛍光色素が自由に光を発することができるが、固体状態では蛍光色素間の電子結合が蛍光色素の発光を消光してしまうことで、ぼんやりとした蛍光しか実現できなかった。本知財では、シアノスターと呼ばれる環状の大型分子の中に蛍光分子を格納し、蛍光分子間の距離を保つことでこの課題を解決し、蛍光染料の結晶化を可能にする。将来的には、有機ELやフォトニクスといった光学材料だけでなく、太陽光発電への応用も期待されている。

なぜできるのか?

シアノスター

本知財は、カチオン性染料とアニオン結合シアノスターマクロサイクルを混合することによって生成する。シアノスターはプラスに帯電しており反発し合って距離をとる性質があるが、この性質を用いることで、格子内で空間的にも電子的にも、格納した蛍光色素を脱結合させ、距離を保たせることができる。加えてシアノスターは、この内部に組み込む分子を変え、赤外線のようなエネルギーの低い光を収束・変調させることで、太陽光発電の効率化に貢献する可能性も示唆されている。

紫外線の供給で半永久的に光り続ける

光源として紫外線を供給することにより、蛍光染料を光り続ける固有光源として使用が可能。従来の光は電球やLEDが主に発光していたが、紫外線供給源との組み合わせで本知財で描いた模様等を光源にすることができる。

相性のいい分野

アート
夜の街の壁に描かれた、電球やネオンよりも強力に照り輝く次世代ペンキアート
音楽
ライブ会場で何度でも再使用可能な固形蛍光スティック
3Dプリント
3Dプリンターの蛍光インクとして、様々な形の光る造形が製作可能

知財情報

主な知財ホルダー:Christopher R. Benson et al.

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。


知財ライティング: 小髙 充弘