No. 189 食品の安全性がひと目でわかる温度検知ゲル

Thermo tracker(サーモトラッカー)

Thermo tracker(サーモトラッカー)は、温度の変化を検知すると色が変化する、特殊な色素が含まれたゲルである。不可逆的に色が変わるポリジアセチレンの特性を利用して、ゲルが青色から赤色に変化することで温度上昇が起こった履歴を記録できる。消費者は食品に貼り付けられたサーモトラッカーをひと目見るだけで、適切な温度管理のもとで食品が輸送されているかを把握できる。将来的には、食中毒などの思わぬ事故を未然に防ぐ衛生指標としての活用が期待されている。

温度が上昇するにつれて赤色に変化する

妄想プロジェクト

体温検知機能付きぬいぐるみ「センシング・ベア」(Sensing Bear)

まだ幼い子供を持つ親は、気の抜けない日常を送っている。

たとえば我が子が突然、熱を出そうものなら一大事である。乳幼児は体温調節の機能が未熟なので、室温や衣服の条件によっては体温が突然上がってしまう。だから、親は急な発熱を見過ごさぬために常日頃、子供のケアに勤しんでいる。子供の様子をいつもチェックし、発熱を疑えば手元に置いておいた体温計を脇に挟む。そんなプロセスが必要なのだ。こういった、子供のケアにおいて親にかかる負担を減らせないだろうか。

「センシング・ベア」(Sensing Bear) は、乳幼児の体温変化を検知すると色を変化させるぬいぐるみだ。温度上昇に伴い青から赤に変色する色素が含まれたゲル「Thermo tracker(サーモトラッカー)」で作られているため、体温変化も一目瞭然。乳幼児を柔らかい触感で優しく包み込みながら、体調も見守ってくれる、頼もしい遊び相手になることだろう。


妄想画家: 田嶋千寛

なぜできるのか?

ナノ分散テクノロジー

サーモトラッカーに含まれるポリジアセチレンは、所定の温度で不可逆的に青色から赤色へ色相転移するが、水中で分散状態を保つことが困難であった。独自のナノ分散テクノロジーによって、ポリジアセチレンを含む特殊な色素(感温変色性組成物)をゲルに安定して分散させることに成功。少ない含有量でも色の変化がわかりやすくなり、成分の99%が水でできているため、販売価格を数十円に抑え使い捨てができる。

相性のいい分野

食品
陳列された食品が、適切な温度管理のもと輸送されているかどうかわかるスーパーマーケット
ヘルスケア
99%が水でできた安全なゲルで温度管理された医薬品
環境
地球規模の温暖化や気温変動を可視化し、啓蒙を行うための表現活動
アート
世界中のあらゆる地点の気温をトラッキングし、色の変化を追いかけるメディア・アート

知財情報

主な知財ホルダー:フューチャーカラーマテリアルズ株式会社

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

荒井 亮 Ryo Arai
Producer / Konel Inc.

1977年東京都荒川区生まれ。立教大学社会学部産業関係学科卒。クリエイティブ会社にてライブ配信事業のプロデューサーとして番組の企画制作、各種アライアンスやチームビルディングを担当。その後、Konelに所属し「日本橋地下実験場」を中心としたプロジェクトに関わる。聴覚を拡張するプロダクト『PlayEar』の開発や、インターネット世代のポップカルチャー、メディアアート、ペットテック領域に関心がある。


知財ライティング: 都淳朗