No. 267 生体組織の3Dバイオプリンター

BIO X(バイオエックス)

「BIO X(バイオエックス)」とは、Cellink社が開発した最新型3Dバイオプリンター。3DCGモデリングされた三次元構造データを「バイオインク」と呼ばれるゲルベースの素材で3Dプリンティングすることで、生体組織や細胞の培養モデルを立体的に造形できる。従来の二次元的で不自然な培養環境では、細胞の表現型が変化してしまい、実験結果に大きな影響を与えることが多かった。一方「BIO X」によって構築される三次元的な培養環境では、細胞がより長く生存できるため、頑健な実験系が維持される。今後は「BIO X」を通じて、人工組織・細胞を用いた実験のデザインに多様性が生まれ、再生医療分野が広く開拓されていくと期待される。

https://www.immunodiagnostic.fi/en/cellinks-3d-bioprinters-now-from-us/

「BIO X」はレッドドット賞(2018年)やストーラ・デザインプリセット(2019年)など権威ある賞を受賞。世界中の1800以上の研究機関で利用されている。

妄想プロジェクト

自らに包まれて眠る「バイオ・カプセルホテル」

家などの建造物を構築できるほどに大型化が進んでいる3Dプリント技術に、バイオエックスの生体組織や細胞を培養する技術を掛け合わせれば、自分自身の細胞でつくられた外壁や布団に包まれて眠ることができる「バイオ・カプセルホテル」ができるだろう。空間と身体が拡張し融合する超プライベートな一室でのリラクゼーション体験は、アイデンティティの醸成とマインドフルネスの一環となるかもしれない。現代の都市生活者が「自分の居場所がない」と孤独を感じた時の、ヘルスケアの一助となるだろう。


妄想家: 小髙充弘

なぜできるのか?

細菌の混入を許さない徹底した環境管理

実験操作を行う空間(チャンバー)が二重フィルターを通して陽圧に制御されているため、プリント部分の無菌環境が維持される。

人間工学に基づくUI/UX

機器本体にはバイオプリンティング処理を強力にサポートしてくれるソフトウェアが組み込まれている。実験者はゴム手袋のまま、タッチスクリーン操作でソフトウェアを動かせる。

多機能で拡張性のあるプリントヘッド

BIO Xには様々な機能を持つプリントヘッドが同時に3種類取り付けられるように設計されている。多機能のプリントヘッドにより、温度制御や粘度の高い物質の押し出しを行ないやすい。

相性のいい分野

医療
臓器チップ(organ-on-a-chip)の応用研究を強力にサポート
医療
顎の骨格標本を作製、BIO Xで生体組織を流し込むことでパーソナライズされた歯科治療を提供
SDGs
CulNet System(カルネットシステム)との組み合わせにより、低コストで長持ちする培養肉を生産、飢餓や食糧危機の解消に貢献

知財情報

主な知財ホルダー:CELLINK

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

後藤 祐介 Yuske Goto
Design Engineer / Konel Inc.

電機メーカー勤務後ドイツの大学でデザイン専攻。その後ドイツおよびマレーシアでプロダクトデザインおよびテクニカルリサーチに従事後、日本でIoTプロダクト開発やテクニカルディレクションに携わる。新素材、Human-Computerインターフェース技術や技術の文化史に関心がある。


知財ライティング: 小髙充弘